第5部 トリスタニアの休日
第3章 魅惑の妖精のビスチェ
[9/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ルイズが呆然として尋ねる。
「俺が平民に見えないのと同じ理由だ」
ルイズはまだわからないのか、首を傾げた。
「態度や仕草を見ればバレバレよ!」
ジェシカが笑いながら答えた。
「そ、そんな…」
ルイズは今までの努力は一体……と肩を落とした。
ウルキオラはそんなルイズの様子を横目に紅茶を啜った。
スカロンは床に転がったチュレンヌの財布を見て、楽しげな声で、
「魅惑の妖精のビスチェはルイズちゃんが着ることになりそうね!」
「え?そんな、わたしは……」
スカロンはルイズの耳元で呟く。
「あら、もしかしたらウルちゃんを落せるかもよ?」
ルイズはばっと目を見開いたが、ほんの少しだけ縦に首を振った。
「今回のチップレース優勝は、ウルちゃん&ルイズちゃん!」
店内に拍手が鳴り響いた。
翌日の夕方……。
ルイズはベッドから出てこなかった。
「おい、仕事だ」
「今日は休む」
「なんだと?」
ウルキオラは怪訝に思った。
しかし、本人が休むと言っているのなら別に無理やり引っ張る必要もない。
「わかった」
それだけ言い残し、ウルキオラは扉に向き直る。
扉の横には、優勝賞品の『魅惑の妖精のビスチェ』がかけられている。
賞品といってもこれも持てるのは今日だけだが。
まあ、家宝だからあたりまえなのである。
店に入ると、スカロンが寄ってきた。
「あら?ルイズちゃんは?」
「休みだ」
「あら、そう…」
スカロンは意味のある笑みを浮かべる。
「なんだ?」
「いや、なんでもないわ」
そう言って店の奥へと消えて行った。
ウルキオラはいつものように紅茶をテーブルにおき、情報収集をやろうとしたが、昨日の件が頭から離れず、閉店まで虚空を見つめながら紅茶を啜っていた。
店が閉まると、ウルキオラは例の宿屋に戻った。
部屋の床板から明かりが漏れている。
どうやらルイズは起きているようだ。
扉をあけ、ウルキオラは中に入った。
驚く。
部屋は綺麗に掃き清められ、雑巾までかけたらしく、埃一つ舞っていない。
溜まっていた洗濯物も綺麗に干されている。
「これは……どうした?」
「わ、私がやったのよ、あんたばっかに任せるのも…その、悪いし」
声の方を見てウルキオラはさらに驚く。
テーブルの上に料理とワインがならんで……、それを蝋燭の光が照らしている。
そしてその明かりは……、美しく身なりを整えたルイズも照らしているのだった。
ウルキオラは目を見開いた。
昨日のどす黒い記憶が急速に消えて
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ