第5部 トリスタニアの休日
第3章 魅惑の妖精のビスチェ
[8/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
り下ろす瞬間、店の隅から声が飛んできた。
「ウルキオラ!やめなさい!そこまでする必要はないわ」
ルイズの声がウルキオラの手を止める。
ウルキオラはゆっくりとルイズを見つめた。
「これは命令よ」
ウルキオラは少し考えた。
なにをしているんだ?俺は……。
ウルキオラはここまでの行動を後悔した。
感情に身を任せ、行動してしまったからだ。
ここで不意に気づく。
感情……。
感情だと?
ウルキオラはルイズから目を離し、チュレンヌに向き直った。
ぶるぶると小刻みに震えたまま地に屈している。
無様である。
ウルキオラは溜息をつき、刀を収めた。
「あいつに感謝するんだな」
チュレンヌは頭を垂れ直した。
ルイズがチュレンヌに近寄る。
「今日見たこと、聞いたこと、全部忘れなさい。じゃないと、あんた命がいくつあっても足んないわよ」
「はいっ!誓って!陛下と始祖の御前に誓いまして、今日のことは誰にも口外いたしません!」
そう喚きながら、地を這いながら闇の中へと消えて行った。
ウルキオラは颯爽と椅子についた。
割れんばかりの拍手がウルキオラを襲う。
「すごいわ!ウルちゃん!」
「誰がウルちゃんだ」
スカロンの頓珍漢なあだ名に尽かさず突っ込みを入れる」
「あのチュレンヌの怯えようと言ったらなかったわ!」
「胸がスゥ!としたわ!最高!」
スカロンが、ジェシカが、店の女の子たちが……、ウルキオラを一斉に取り巻いた。
ウルキオラそこでようやく冷静になり、やってしまった、と思った。
ルイズに平民らしくいろと言っていた俺が、一番平民らしくない。
何かどす黒いものが体を支配し、本能のままに行動していた。
ゼロ戦でタルブの村を見たときと同じような…。
これも心なのか?……今はそんな予測しかできない。
ルイズが寄ってきて、ウルキオラに呟く。
「……バカじゃないの!何してんのよ!」
「……」
ウルキオラは一体自分に何が起きているのか考えているためか、ルイズの言葉が入ってこなかった。
「ちょ、ウルキオラ?」
ルイズは軽くウルキオラの肩に手を置き、顔を覗き込む。
「……なんでもない」
ルイズは様子が少し変?と感じた。
問いただそうと、口を開けた瞬間、スカロンがルイズの肩に手を置いた。
「いいのよ」
「へ?」
ルイズは頓珍漢な声を上げた。
「ウルちゃんがただの平民じゃないってことも、ルイズちゃんが貴族だってことも、前からわかってたわよ」
ウルキオラはふいに笑みを浮かべた。
「まあ、そうだろうな」
「ど、どうして?」
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ