第5部 トリスタニアの休日
第3章 魅惑の妖精のビスチェ
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思った。
そんなんですんなり立ち去ったら今頃私の忠実な下僕になっているはずである。
「今ならまだ許してくれよう。早く出て行け!」
ウルキオラは気怠そうに立ち上がった。
ウルキオラが立ち上がったのを見て、取り巻きの貴族たちは杖を握り直す。
「ならば、こちらも忠告してやろう。命が惜しくば、今すぐここから立ち去れ」
予想だにしない言葉に、チュレンヌは動揺をみせたが、ウルキオラを一睨みすると、取り巻きの貴族たちに命令した。
「やれ!殺して……」
しかし、チュレンヌの命令が届くことはなかった。
店の中が、まるで地震でも起こったかのように揺れる。
ウルキオラの霊圧に反応しているのだ。
チュレンヌと取り巻きの貴族が膝から崩れ落ちる。
取り巻きの貴族の何人かが意識を失い床に倒れ込む。
チュレンヌも苦しそうに四つん這いになり、肥えた腹が地面と接した。
スカロンやジェシカ、女の子たちも、なにが起こっているのかわからなかった。
しかし、ウルキオラから何か得体のしれない圧倒的な力が放出されているのはわかった。
ウルキオラは倒れ込んだチュレンヌに近寄る。
一歩一歩近づいてくる脅威にチュレンヌは恐怖した。
「な、何者?あなた様は何者で!どこの高名な使い手のお武家様で!」
チュレンヌはがたがた震えながら、ウルキオラに尋ねた。
自分たちを押しつぶしている圧倒的な力。
初めて味わう経験である。
ウルキオラは答えずに、ポケットから手を出した。
チュレンヌの後ろにいる意識のある貴族に、虚弾を放った。
緑色の塊があたり、ぐぇっ!といううめき声と共に、壁を突き破り、ご退店なされた。
余りのスピードに、ルイズを除くすべての人が驚きを隠せなかった。
もちろん、チュレンヌもである。
チュレンヌは吹き飛ばされた部下を横目で追いながら、重い体を何とか折り曲げて、ウルキオラに平伏した。
同じように次々と他の貴族が同じように吹き飛ばされていく。
「許して!命だけは!」
それからチュレンヌは慌てたように体をあさり、財布をそっくりウルキオラにほうってよこした。
「どうかそれで!お目をおつぶりくださいませ!お願いでございます」
ウルキオラは財布を見もせずに呟いた。
「……いいだろう。命は助けてやる」
「あ、ありがとうございます!」
チュレンヌは顔を上げて、ウルキオラをみた。
その瞬間、顔が青ざめる。
腰の刀に手をかけていたからだ。
「そのかわり、両手と両足をおいていけ」
チュレンヌはもう一度頭を床に擦りつけた。
「お、おやめください!この通りでございます!」
ウルキオラが刀を振
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