第5部 トリスタニアの休日
第3章 魅惑の妖精のビスチェ
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距離よ!」
「はい!ミ・マドモアゼル!」
ウルキオラはそんな騒ぎをものともせずに、隅っこの席で本を片手に紅茶を啜っている。
その向かいで、ルイズは何やらそわそわしていた。
「どうした?」
ウルキオラはそんなルイズの様子を怪訝に思った。
「べ、別に」
ルイズはそっけない返事をした。
「そうか」
ウルキオラもそれ以上の追及はしなかった。
沈黙が流れる。
ルイズはちらちらとウルキオラを見た。
どうやら、昨日の作戦は全く効果がなかったようだ。
何よ…。
本当に何とも思わないの?
私はあんたが……。
ルイズはそこまで考えた後、首をぶんぶん振ると、ウルキオラをキッと睨んだ。
しかし、そんなルイズの気持ちを知る由もないウルキオラは、紅茶を一口啜るのであった。
さて……、その日のルイズは、ちょっぴり様子が違っていた。
客の横に腰かけ、にこっと笑って情報収集を始めた。
「まったく、戦争だって。嫌になりますわよね……」
「そうだねぇ。まったく『聖女』などと持ち上げられているが、政治の方はどうなのかねえ!」
「と、申しますと?」
「あんな世間知らずのお姫様に、国を治めるなんてできっこないって言ってるのさ!」
アンリエッタの悪口だが、じっとこらえる。
いろいろと話を聞かなくてはならない。
「あのタルブ戦だって、たまたま勝てたようなもんだ!次はどうなることやら!」
「そうですか……」
ルイズはそんなふうにして、少しずつ街の噂を拾っていった。
酔っぱらいは、天下国家を論じるのが大好きであった。
ルイズが水を向けると、まるで待ってましたと言わんばかりに政治批判が始まる。
酔っぱらいたちはまるで自分たちが大臣にでもなったかのように、政治の話をするのであった。
「どうせならアルビオンに治めてもらった方が、この国はよくなるんじゃないのかねえ?」
なんてとんでもない意見が出れば、
「さっさとアルビオンに攻め込めって言うんだ!」
と勇ましい意見も飛び回る。
誰かが、
「軍隊を強化するって噂だよ!税金がまた上がる!冗談じゃない!」
と言えば、
「今の軍備で国を守れるのか?早いとこ艦隊を整備してほしいもんだ!」
とまったく逆の意見が出る。
とにかく……、まとめてみると、タルブの戦でアルビオンを打ち破ったアンリエッタの人気は、陰りが見え始めているようであった。
戦争は終わらず……、不況は続きそうである。
アンリエッタは若い、これからの国の舵取りがうまくできるのか?と一様に皆心配なようだ。
アンリエッタには耳が痛い話だろうが、きちんと
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