第三十二話 殺し合い
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言峰綺礼のもとを後にしたキリトは、何かを確信づいたかのように行動を起こし始めていた。
あの時殺されたと思われる男、カインズの友人のヨルコ、そしてそのもとギルドの仲間でもあったシュミットから話を聞き出し始めた。
その時の様子や、三人の関連性についてなど、必要な情報を余すことなく聞き出す。
かつて、三人が《黄金林檎》というギルドを組んでいたという事や、ドロップした指輪が元で、仲間内で争いが起きた事も。
そして、おそらくそれが原因でリーダーであるグリセルダが殺され、ギルドが解散した事も。
だが、聞き込みの最中に、ヨルコは襲撃を受けた。
ヨルコの背中には、黒い投げナイフが突き刺さっていて、その後窓から転落し青いポリゴンとなって消滅。
その場にいたアスナは絶句し、シュミットに至っては、ヒステリーを起こしたかのように悲鳴を上げていた。
だが、そんな中キリトは焦る事もなく、その様を見つめていただけ。
シュミットは一人宿を飛び出し、アスナもその後を追いかける。
「……」
一人になった宿の一室で、キリトは何かを考えるかのように顎に手を置く。
「何か分かりましたか?」
部屋の外で待っていたセイバーが中へと入ってきた。
キリトは一つ頷くと、真剣な表情で呟く。
「やっぱり、今回の事件は誰も死んじゃいない」
キリトはそう言うと、アスナを追うように部屋を出て行った。
セイバーもその背中を見つめ、後に続いた。
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結論から言うと、この事件の全容というのは、カインズとヨルコによる自作自演であった。
指輪が盗まれ、グリセルダが殺された真相を暴くための所謂罠である。
その結果、グリセルダの墓の前ですべての真相が暴かれた。
グリセルダの夫でもあったグリムロックの歪んだ思いによる殺害事件。
そして、その殺害を依頼したレッドギルド、│笑う棺桶《ラフィンコフィン》。
グリムロックはその真相すべてを闇に屠ろうとしていた。
シュミットは地に這いつくばり、カインズとヨルコも体が硬直し、動けなくなっている。
もうすぐにでも殺せる。
だが、そのグリムロックの思いはその中の一人の声によって脆くも崩れ去る。
「お前ら、主賓が到着するまで手を出すんじゃねぇぞ」
声の主であるギルドリーダーの《Poh》の一言によって、残り二人のメンバーも動きを止める。
何故だ。
何故殺さない。
グリムロックは彼らが何故手を出さないのか、理解出来なかった。
その時――――――――――。
一直線に何かが飛び出してきた。
その何かは、人影。
弾丸のように飛び出してきた人影は小柄な女性のものだった。
彼女の行く先には、ギルドリーダー
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