ターン19 鉄砲水と『D』と冥界の札
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「………というか親父さあ、なに初対面の娘に店番やらせてるわけ?こんな親もって恥ずかしいのはこっちなんだよ、ったくもう」
文句を言いつつ、2人で厨房から出る。ケーキ?残念だけど、まだまだこの親父には勝てないことを思い知らされただけで終わってしまった。なんで菓子作りと紅茶にだけは異様にハイスペックなんだこの人は。
「何言ってんだお前は。どうせコレなんだろ?せっかくうちの店を継ぐどっかの馬鹿息子以外の候補が出てきたんだ、テストぐらいやっといてやらにゃあいかんだろ」
僕のもっともな意見を鼻で笑い、ニヤニヤ笑いながら小指を一本立ててみせる親父。ちょっと顔が火照ったのを隠すためにごく自然な動作で反対側を向き、赤くなったであろう顔を見られないようにする。とはいえあくまで気休めで、多分バレバレなんだろう。その証拠に、すぐ横から聞こえてくる忍び笑いがこれ見よがしに大きくなったし。
「いいじゃねえか素直な子で。お前にはどう見てももったいないからな、逃げられないうちに捕まえとけよ?」
「るっさい!おーい、むーそうー!」
なぜか店の外でどこか遠くを見ていた夢想に内心感謝しつつ、何をしてるのかと彼女に呼び掛ける。まだどこか心ここにあらずといった様子だったが、それでも反応はあったのでちょっとホッとする。
それにしても、こんなに空が曇っているのは変だ。まだお昼だってのに、今にも振りそうだなんてレベルじゃないぐらい黒くて分厚い雲が空を覆っている。嫌な予感がすごくするけど、ふむ。
「サッカーサッカー、なにか怪しいものが見つかったらすぐに教えてね」
突然のお願いにも嫌な顔一つせずにデッキから出てきてくれるシャーク・サッカー。いつもすまないね、との思いを込めて頭を撫でてやると、気持ちよさそうに喉の奥からゴロゴロと声を出して甘えてくる。かわいい。でもこれ鮫じゃなくて猫だよね、なんて思っていると、なんか精霊が見えない2人からの冷たい視線を感じたのでそそくさと店内に戻る。まったく、変な目で見ないでほしいもんだ。ここにちゃんと精霊はいるのに。
「じゃあ見張りよろし……く………?」
いた。さっきまで間違いなくいなかったのに、今でははっきり見える。ビルよりもでかい精霊が町全体を取り囲むようにひい、ふう、みい……なんと、4体も。
「チャクチャルさん、解説!」
『私か!?』
いやだって呼んだら一発で返事くれるし、わりと博識だから何聞いても答えてくれそうだし。これ本人(?)に直接言ったら前半部分について私はペットかタクシーかとか言って怒りそうだから口には出さないけど。
『またろくでもないこと考えて………まあいい、あれは帝だな。水、炎、風、土の四大元素そろい踏みだ』
そう言われて4体の人型をもう一度ぐるりと見
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