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第一章
老いても永遠に
予科練。恐ろしいまでの難関であり入れればそれだけで栄誉とされる程のものだった。海軍兵学校と同じく海軍を目指す者にとっては実に狭き門だった。
だがそれだけに入られた者にとっては素晴らしいことだった。
今七つボタンの少年達が集まっていた。彼等は互いに顔を見合わせて言い合うのだった。
「貴様は誰だ?」
「そういう貴様は何者だ」
まずは闘鶏の様な顔合わせであった。
「俺は浜北省吾だ」
「俺は津田大平だ」
互いに名前を言い合う。
「よく覚えておくことだな」
「そちらこそな。俺は海軍だ」
津田がまず言うのだった。
「今から海軍だ。覚えておけ」
「覚えておいてやる」
浜北は年齢を考えると背伸びした不敵な笑みで言葉を返した。
「貴様のことはな。精々最後まで頑張れ」
「それはこちらの台詞だ。戦死せんようにな」
既に戦争ははじまっていた。日本は連合軍との戦争を行っていたのだ。その戦争において戦死するなということであるのだ。
「ふん、貴様こそな」
津田と浜北はこんなふうに言い合っていた。そこにもう一人七つボタンが来たのだった。
「何だ、靖国の英霊だと思ったぞ」
「ほう、言ってくれるな」
「まだ足はあるぞ」
今度は二人同時に不敵な笑みを浮かべた。そのうえでその声の主に顔を向けた。
「それで貴様は誰だ?」
「名前を聞いてやる。誰だ」
「安永哲也だ」
その彼はこう名乗ったのだった。
「貴様等が俺の同期になるのだな」
「どうやらそうらしいな」
「貴様がそうだな」
「どうだかな」
今度は安永が不敵な笑みを浮かべるのだった。
「俺の同期になるのは尋常なものではないぞ」
「ふん、それは貴様がすぐに戦死するからだな」
「だからだな」
こう返す二人だった。
「だから貴様の同期になるのは難しいのだな」
「そういうことだな」
「違うな。俺の様な男と肩を並べるのは難しいことだ」
そうだというのである。
「俺と肩を並べるのはな」
「それは俺の台詞だ」
「俺もそう言っておこう」
二人もまたその鼻っ柱の強いところを見せてきた。ここでも闘鶏の如くだった。
「俺と張り合える奴なぞいない」
「俺にもだ。誰もな」
「ではそれをこれから証明してみせるのだな」
安永の不敵な言葉は変わらない。
「俺を失望させんようにな」
「貴様もな」
「精々頑張るのだな」
互いに言い合いそのうえで別れる彼等だった。浜北は一人になりそのうえで暫く基地内を見回っていたがやがて隊舎に入った。そうして自分が指定された部屋に入ろうとすると。
「むっ!?」
「貴様もこの部屋か」
「貴様もなのか」
入ろうとしたところで安永とばった
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