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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百六十六話 戦争計画
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いと考えているよ。それを以って帝国と講和交渉を行いたいと。同盟領内に入れたのでは交渉の内容が厳しくなる、いや交渉そのものが出来ない可能性が有る、そう考えているようだ」
なるほど、軍と国防委員会で方針が一致しないということか。
「アイランズ国防委員長を説得してくれというのか?」
シトレが頷いた。
「彼だけじゃない、トリューニヒト議長もだ。議長の支持が有るからアイランズは意見を譲らない。軍はアイランズを飛び越えて直接トリューニヒト議長に話す事を躊躇っている。それで私に相談してきたんだ」
つまりシトレから聞いたが軍が困っている様だが大丈夫かと二人に注意喚起しろという事か……。あまり楽しい仕事ではないな、私が答えずにいるとシトレが言葉を続けた。
「レベロ、食い止めに失敗すれば同盟が滅びかねない、二つの回廊、どちらも失敗は出来ないという事だ。極めて条件は厳しい。だが引き摺り込んで戦うなら場所はこちらで選べる、それだけでも有利だ、違うか? 」
身を乗り出してシトレが強い視線を送ってきた。受け止められない、目を伏せた。
「君の、いや軍の言う事は分かる。しかしイゼルローン、フェザーンを放棄すれば如何なる? 同盟領内でとんでもない混乱が生じかねん。シトレ、政府がそれに耐えられると思うか? 政府が瓦解すればそれこそ自滅行為だ。星系自治体の中には帝国に勝手に降伏する自治体も出てくるだろう、そうなれば政府だけじゃない、同盟そのものの瓦解だよ、秩序だった防衛など出来なくなる。トリューニヒトもアイランズもその辺りを考えているのだと思う。そうではないか?」
今度はシトレが目を伏せた。シトレにも自信は無いのだ。
「その可能性は確かにある。ヤン提督もそれを懸念していた。しかしトリューニヒト政権の支持率は高い。政府主導で同盟領内で決戦すると市民に説明すれば……」
「……帝国軍が星系自治体を攻略したらどうなる。パニックになるぞ。或いは人質に取られて正面決戦を強いられたら? 見殺しには出来ない、こちらの都合で決戦などという思惑は吹っ飛んでしまうだろう」
「無防備都市宣言を出させれば帝国も無茶はしない」
「……自分に言い聞かせている様な口調だな、絶対の保障は無い」
「……」
「シトレ、軍は勝つ事を優先し過ぎていないか? 市民の安全を軽視しているように見える。無茶をすれば戦う前に同盟が崩壊しかねない」
シトレが顔を歪めた。
「アルテミスの首飾りの問題も有るぞ」
「……」
「あれが役に立たない事を公表しろと軍は言っているがそれだって市民感情を配慮して公表出来ずにいる。君らの言うように公表して要塞とフェザーンを放棄すればどうなるか? 容易に想像は付くだろう」
同盟市民、特にハイネセンの市民は発狂したようになるだろうな。
「帝国軍は大軍だ
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