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英雄は誰がために立つ
Life9 聖書の子らの新たなる道 −三竦みの会談−
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ーカーなんだろう?」

 この部屋の薄暗い部分から、青と黒を基調とした魔術師然とした服装に金色の仮面を付けた人物が現れた。
 それに対し、彼の魔術師に視線も合わせずに口を開くレヴェル。

 「アレの好みそうなキーワードを散りばめれば一応、通じるのですよ。ですがそれ以外では無理ですね。あれも立派に狂っていますので・・・・・・事細かな指示や作戦方針など聞きもしないでしょう。ですがそれでも構いません。捨て駒兼陽動には十分ですから」

 言い切った後に漸く振り返るレヴェル。

 「あちらは如何ですか『キャスター』?」
 「既にゴーレムは投入しているよ。弱い奴や中堅までなら、即急で出来るからね」

 『キャスター』と呼ばれた人物は淡々と述べる。

 「結構。それでは手筈通り、バーサーカーのマスター(・・・・)役はお任せします。キリの良さそうなところで爆弾にでもしてください」
 「了解した・・・・・・ところで例のモノは如何かな?」
 「申し訳ありませんが、もう少し時間がかかります。この世界では魔法と魔術の真実も違う上、一流でも悪魔の魔力器官を研究した上での魔法使い(・・・・)では駄目でしたからね。原初の魔術器官――――魔術回路を持った者の中でも一流の魔術師となりますとね」

 この2人はある契約上で繋がった関係だ。キャスターが求めるのは魔術回路を具えている一流の魔術師。故にこの世界の多くの魔法使いでは論外だった。

 「そうか・・・。いや、すまない。事を焦り過ぎた様だな」
 「ご理解感謝します。しかし、契約は契約。遅くとも3ヶ月以内には見繕いますので、如何かご辛抱を」
 「3ヶ月・・・。解ったよ。どちらにしても僕ではこの世界で探す当てもないし、任せるしかない様だね。――――取りあえず、契約は契約。仕事をして来よう」

 その言葉と共に、自分の足元に魔法陣を出現させて転移するキャスター。
 それを見送るとレヴェルは、誰かに呟くように口を開く。

 「『アサシン』」
 「此処に」

 言葉と共に、瞬時に出現する黒子の様な人物。片膝を折り、頭を垂れる。傅く様な姿勢だ。
 『アサシン』と呼ばれた人物は、漆黒のローブに身を包み白い髑髏を模した仮面で貌を覆い隠している。

 「彼方では今、カテレア・レヴィアタン殿と例の・・・・・・・・・と共に強襲中で御座います。そして、脆弱な魔術師の群れに、『キャスター』のゴーレムも投入されていますので今こそ好機かと」
 「そうですか。では――――――拘束中のバルパー・ガリレイのみ(・・)を奪取しなさい」

 ――――と。レヴェルはアサシンに告げた。


 −Interlude−


 深夜。駒王町内、駒王学園。

 時間は遡る。現在会談開始1分前――――
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