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Muv-Luv Alternative 士魂の征く道
第22話 一蓮托生
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―貴方は、私の夫として相応しくないという事を分かっているんですか。」
「分かっているさ……だがな、変化しないモノに未来なんて無いんだ。同じに見えてちょっとづつ変わらねばならない。
だからこそ、
己
(
おれ
)
は
己
(
おれ
)
のままで篁の名を背負おう―――」
返ってきたのは否定の言葉、だが続けて忠亮の口から発せられた言葉の意味が唯依の理解の範疇を超えてしまっていた。
「どういう意味ですか。」
「武道の神髄、守破離を知っているか?」
ただ聞き返した唯依に、返される問。
それはある程度武道に通じるものなら知っていて当たり前ともいうべき理念だ。教えを忠実に守るだけでは進化する事がなく、他流の武術に対し弱点さえも修復しない古いだけの武術は駆逐される。
また、それぞれの武術はそれぞれの始祖が己の独自の戦術理論によって構築したものをその弟子たちが、自分用にアレンジを繰り返した結果体系化されていった物だ。
故に、ただ一つとして同じ武術はなく、同じ流派もない。
似てはいても別物なのだ―――しかし、その変化こそ進化。
そうやって過去の先人の戦術理論を学び、検証し、付け加えていき自分だけの流派を作り上げることこそが武術を極めるという事だ。
「はい、技術を真に自分のモノとするための三工程―――それが、なにか関係あるんですか。」
「お前は篁の“守”だ。だからこそ
己
(
おれ
)
は篁の“破”となろう。」
「では、篁の離はどうなるんですか……?」
「二人で作って往けばいい。」
家はただ継承されて往くだけの物ではない。
彼はそう言っていた、ただ受け継いだものを後生大事に抱えるだけでは何も変わらない、それを続ければ軈て取り返しの付かない破滅が待っているだろう。
改正不可能な憲法が欠陥品であるように、環境に適応できない生命が駆逐されるように。
自然淘汰の原則はいつの世も永久不変かつ絶対の法則、即ち節理だ。
「ふふっ……まったく、変な求婚です。」
お互い環境が特殊だという事もあるが、武術の理と家名を絡めて自分が強制したはずの婚姻で逆に求婚されるとは夢にも思わなかった唯依が苦笑零す。
そして、息を吸い込み意を決し、告げる。
「私も武家の女です、夫となる男がどのような結末を辿ろうともそれを
見葬
(
みおく
)
るくらいの覚悟はしてました。」
父が横浜に果ててからの母を知っていたから。どう在るべきが武家の妻の義務なのか十二分に知っている。
自分で切り捨てる覚悟は持てなかったが、漠然と受け入れる覚悟だけはしていた―――いや、それは覚悟という名の諦めだった。
「私は、改めて貴方を選びます―――貴方を選んで良かった。
之は間違いなく私の意思、己を通して後悔する事なんてあり得ません………
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