2部分:第二章
[2/2]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
殺した。誰もそれを止めなかった。俺もだ。
止めようとは思った。けれどあの話を聞いて。それができなかった。
彼はだ。怒りに満ちた声でこう言った。
「この連中ボスニアでとんでもないことしてるんですね」
「ああ、そうだ」
その通りだとだ。俺はセルビア人の死体を見ながら言った。頭を撃ち抜かれてだ。口から血を流してそのうえで倒れていた。その死体を見下ろしながらだ。
「ここ以上に虐殺してな」
「収容所ですね」
「とんでもない話だ」
正直考えたくもなかった。言葉に出すのもはばかれた。
「そんな目的での収容所なんてな」
「それがセルビアのやり方なんですね」
俺に応える声にだ。これまで以上に憎悪がこもっていた。
「そんなことをするのが」
「御前はそういうことは」
「絶対にしません」
少なくともそういう奴じゃない。それはわかっていた。
けれど言葉になったのを聞いてだ。俺は安心した。そこまで荒んでいないことがわかったからだ。
「そんなことは」
「そうだな。俺もだ」
「俺はセルビアの奴等を殺します」
それは変わらないというのだ。
「けれど。そんなことは」
「けれどな。それはな」
「昔から行われていたんですか」
「そうだ、昔からだ」
実際にそうだとだ。俺は答えた。調べてだ。それもわかっていた。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ