”彼女”
[10/12]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
いくのも、幽霊の私は見ているだけしか出来なかった。苦しかったよ……何も出来ない自分が、自分の無力さが。もうそんなのは嫌だ……だから、私は……今度こそ皆の力になりたい! 皆の未来を守りたい! そのためなら、これから永い時を生きるぐらい怖くない!」
「わかりました……あなたの決意、確かに聞き届けました」
カーミラさんが願う様に手を組むと、アリシアちゃんの身体が太陽みたいな色の温かい光に包まれた。その光はぽかぽかして心地よく、浴びていると私たちに注がれていた破壊衝動の声が弱まっていく感じがした。光が収まって現れたアリシアちゃんは、どういう訳か身体がある程度成長していて、私とほぼ同じくらいの身長の可愛い女の子になっていた。
「これが……生まれ変わった私の姿……」
「心に太陽が昇り続ける限り、あなたは皆を照らす光となるでしょう」
「うん! 私、頑張るよ!」
「今のあなたはおてんこさまと同じ力が備わっています。どう使うかはあなたの判断次第です」
そこまで言って言葉を区切ったカーミラさんは、最後に私に視線を注いだ。
「すずかさま……月の力は太陽の力を増幅し、受け流します。それはイモータルに力を与える諸刃の剣……。しかし、月の淡い輝きはどんな存在も優しく受け入れます。それを胸に秘めておいてください」
「はい……」
確かに私は今なら月の力を感じ取れて、その光が母親のような優しさを秘めているのがわかる。だけど……使い道がわからないよ。いや、実際の所使われるような事がないのが最も良いのかな?
カーミラさんはこれが最後と言わんばかりに手を掲げ、紫色の中型バイクを一台出した。ちなみに各パーツは、
フロント“ハンマーヘッド”
ボディ“エインヘルヤル”
タイヤ“チェーン”
スペシャル“バリア”
カラー“サバタバイオレット”
である。機械好きの私としては異世界の技術で作られたバイクなのだから、正直興味が湧き上がる。にしても、なんでバイクなんだろう……? と思っていたら、サバタさんが操縦できるようでそれに跨り、アリシアちゃんは彼の後ろに座ってしがみついた。どうやらこれに乗って脱出するようで、私はサバタさんの前に潜り込んで座る。ハンドルを掴むサバタさんの腕に挟まれていると心が落ち着き、光の筋が示す道を前にしてバイクのエンジンがかかる。
「……これ一人乗りのようだが……前後合わせて3人も乗って大丈夫だろうか?」
「心配ありません。サバタさまならその辺りは自力で何とか出来ちゃいますよ」
「そういう問題か……? 一応スペック的に問題は無いようだがな」
「出口はもうわかりますね、サバタさま」
「無論だ。ジャンゴの時と同じく、仲間の心の声をたどれば良いのだろう」
サバタさんは目を閉じ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ