”彼女”
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える事が出来ます」
「カーミラ……すまない。いつも……俺はおまえに助けられてばかりだな」
「サバタさまのお役に立てるのでしたら、私はそれだけで嬉しいです。……そして、アリシアさま」
「ひゃ、ひゃいっ!? な、何でしょうか……?」
唐突に呼ばれて酷く狼狽するアリシアちゃんに、微笑ましい笑顔を見せたカーミラさんは穏やかな声音で告げる。
「去り際におてんこさまからもたらされた力と、これまでサバタさまから注がれた月の力を使って、私はあなたを“太陽の使者の代弁者”として転生させる事が出来ます」
「へっ!? 転生って、私……生き返れるの!?」
「はい。しかし“太陽の使者の代弁者”と成るのは即ち、“人間ではなく精霊として永い時を生き、太陽意志ソルにその身を捧げる”ことになります」
「えっと……それって要するにどうなるの?」
「簡単に申しますと、“太陽意志ソルの使命を代わりに果たし、かのご意向が無い限り永遠に死ねなくなります”。太陽の使者おてんこさまもかつてダークマターを浴びすぎて地上に降臨できなくなりかけた事がございますが、もし地上に存在できなくなっても消滅はしないのです」
「つまり“太陽の使者の代弁者”に成れば、生き返れる代わりに“太陽系が死ぬまで使命を果たさなくてはならない”という事なんだね……」
なんか別の魔法少女の物語を思い出すけど、契約する相手はインキュベーターでは無く、人間や生命の未来を明るく照らして育んでいる太陽の意思だ。確かに人間どころか吸血鬼の寿命よりはるかに永い時間を生きなければならなくなるけど、未来へ続く命の営みを見守って行く役目を負うだけなら、永い時を生きるのも悪くないんじゃないかな? それに私は夜の一族で結構長く生きていけるから、その分話し相手になるのも出来るはずだ。まあ、もし……生きる事が辛くなったら、太陽意志ソルは一応ちゃんと考慮してくれると思う。
もちろん、受けないというのも一つの手だ。サバタさん曰く彼女の魂の修繕はもう完了しているのだから、このまま昇天して死者の世界に行くというのもある。その世界がどうなっているのかは誰も知らないけど、こっちでも転生して新たな人生を歩める可能性だってある。流石に記憶は無くなるだろうけどね。
む〜っと唸るアリシアちゃんはしばらく熟考して悩む……かと思いきや、急に彼女は顔を上げて即答した。
「なるよ。私、“太陽の使者の代弁者”に」
「本当によろしいのですか? 一度成ってしまえば、もう後戻りは出来ませんよ」
「それでもいいよ。……私ね、ずっとお兄ちゃんの傍にいて見てきたんだ。皆が必死に戦って、未来を掴もうとしている姿を。懸命に皆が生きようとしている姿を前にしても、私は何も出来なかった。私が死んでからママがだんだん壊れて
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