”彼女”
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ったから、夜の一族の契約もあってお姉ちゃん達はサバタさんを探し回った。だけど見つけられないまま、次に会ったのは何故か温泉旅行の時だった。あの時サバタさんははやてちゃんを背負いながらアルフさんを連れて行ったけど、その光景を見た私は、正直羨ましいと思った。普通と違う力を持ちながらでも、ああやって普通の人の温かみを得られるんだって。
三回目に会った……と言うより見つけたと表現すべき時は、魔法少女稼業をしている事を教えられなかったなのはちゃんとアリサちゃんが喧嘩しちゃって、アリサちゃんが偶然出会ったサバタさんに相談していたタイミングだった。盗み聞きするつもりは無かったんだけど、サバタさんには好きな人が『いた』と聞こえた。過去形な事からその人に何があったのか大まかに想像はできるけど……。
その後は魔法や管理局、ヴァンパイアや世紀末世界の話を聞いて理解するだけで色々大変だったけど、それよりも私はサバタさんの、普通の生き方を求める事すら出来なかった人生に衝撃を受けた。性質は違っても同じ吸血鬼の私にとってかなり辛い話で、サバタさんが自分の人生を歪めたヴァンパイアを恨んでいるんじゃないかとも考えた私は、契約を終えた後に珍しくお姉ちゃんに我が儘を言って数日後、アースラを経由して彼に尋ねに行った。すると彼はこう答えた。
『その考えは杞憂だ。おれはもう、あの偽りの母を憎んではいない。そして彼女が成り果てたヴァンパイア……吸血鬼そのものに恨みや憎しみは無い』
そう言った彼の目は今の私なんかでは到底及ばない視野を映していて、私はどうしてそこまで彼が強くあり続けられるのか、純粋に興味を持ち始めた。だけどやっぱり吸血鬼が人から見て怪物である事は変わりない……むしろ世紀末世界の現状を知った事で私は更に自分の身体に流れている異端の血を嫌悪し出した。でもそんな私の考えを見透かしたかのように、サバタさんはこう言ってくれた。
『ヒトより多少優れている程度の存在がバケモノなわけがあるまい?』
それは私の吸血鬼に対する認識を根底から覆す言葉だった。吸血鬼=バケモノというそれまで私が抱き続けた事で凝り固まった結論を、彼は物の見事に壊してくれたのだ。ヴァンパイアに運命を歪められたはずの彼によって。
あの日、アリサちゃんはありのままの私を受け入れてくれた。この日、サバタさんは私がバケモノでは無い事を気付かせてくれた。二人のおかげで、私は自分が見えている世界が一気に広がっていくように感じられた。
周りの世界がまるで朝日に照らされたように輝いて見え始め、これから明るく楽しい未来が待っている。そう思い胸に期待が湧き上がっていた、そのはずだったのに……。
ハカイ……! ハカイ……! ハカイ……!
ヴァナルガンドに取り込まれてから、私の脳裏に語りかけるように、ずっとその言
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