”彼女”
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人間だ!!
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〜〜Side of すずか〜〜
【吸血鬼】
それは私の運命を縛る鎖だ。私の家は【夜の一族】という吸血鬼の血筋を引いている。他にも夜の一族の血を引く家はあるけど、とりわけ私たちの血は濃い。そのせいで私やお姉ちゃんは他の夜の一族からも疎まれたり、ノエルたち自動人形の技術を欲しがる人達に標的にされたりしてきた。
そんな人生を歩んできた私は次第に吸血鬼の血を忌避し出し“人間らしい普通の生活”を求め始めた。そして小学校で、ちょっと変わった経緯だけど普通の友達は出来た。
アリサちゃん。なのはちゃん。
この二人は私が吸血鬼だという事を知らない、ごく普通の人間だった。彼女達と一緒にいる間は、私も普通の人間でいられた。吸血鬼の事がバレないように気を付けて心からの安息が出来なくても、それでも笑顔になれる日々を送る事が出来た。
でも……それはある日、突然誘拐された事で覆された。あの日……なのはちゃんがフェレットを拾って動物病院に送り届けた後、帰り道で彼女と別れた直後に私とアリサちゃんは、待ち伏せしていた誘拐犯たちにクロロホルムを吸引させられて意識を失った。そのまま連れ去られて町はずれの倉庫に運び込まれ、そこで私が吸血鬼だという事をアリサちゃんにバラされてしまった。
全てが壊れたと思った。バケモノの私なんかが普通の生活を求めたから、罰が当たったんだと絶望した。だけど……それは杞憂だった。
アリサちゃんは吸血鬼の私を認めてくれたのだ。
でもいくら吸血鬼の事を受け入れられる懐の深さがあっても、状況を覆す力を持っている訳では無い。人間より優れた身体能力を持つ夜の一族の私でも、あの状況を潜り抜ける事は不可能だった。そして……事もあろうか、誘拐犯たちは人間なのに私を受け入れてくれたアリサちゃんに酷い事をしようとした。
だから私は必死に願った。私はどうなってもいい、せめてアリサちゃんだけは助けて欲しい。初めて心から友達だと言える相手を助けて欲しいと、そう願った。でも私の心に巣食う闇は言っていた、バケモノの願いなんか届きはしないって。私の近くにいる人間は全員不幸になる、私は疫病神だから一生絶望しながら長い時を生きるしかない、と。
そんな時、彼が現れた。
突然頭上から降ってきた彼は闇を纏って誘拐犯たちを薙ぎ倒し、一際強いリーダーの男の人も実力で倒した。そんな彼はまるで意にも介さないように颯爽と立ち去ろうとしたけど、先に我に返ったアリサちゃんは彼を呼び留めた。思い返せば本人はあまり気が乗らない表情をしていたけど、その後はちゃんと迎えが来るまで私たちを守ってくれていた。
お姉ちゃん達が迎えに来たときに襲撃してきたヴァンパイアとの戦いで彼……サバタさんそのまま行方をくらましちゃ
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