”彼女”
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『――――生きとるッ!!!』
『ッ!?』
突然、ここ数週間一緒に暮らしていた女の子の声が届いて、向こうの方でラタトスクと戦っていたなのは達も驚いていた。半ば虚ろな表情で私は傍に浮かんだ通信映像、その向こうにいるはやての顔を見る。彼女の後ろに映るアースラ内部は、恭也さんと戦っているヴァンパイアにさっき襲撃された事で相当荒らされたのが見てとれる。
でも……はやては、いや、彼女だけでなく忍さん達や管理局の人達は、まだ諦めた目をしていなかった。
『サバタ兄ちゃんは生きとるッ! サバタ兄ちゃんが助けに向かったすずかちゃんも、きっと生きとるッ!! だから、まだ何も終わってなんかおらん!!!』
「はやて? ……どうして? どうしてそこまで生きていると信じられるの!? 相手は絶対存在、破壊の獣ヴァナルガンド。人知を超越した存在に取り込まれて、無事でいられるはずが無い!」
『そんな事はあらへん! フェイトちゃんは覚えとらんか? 月村家に行った時、サバタ兄ちゃんが言ってた言葉を!』
「月村家……?」
私はあんまり重要視していなかった夜の一族との契約。その時、お兄ちゃんが言った言葉を全て覚えはしてないけど、衝撃が大きかった言葉は記憶に残っている。その中には……、
『とあるイモータルに一度操られた結果、俺が世界を滅ぼしかけた』
確かこんな事を言っていた覚えがある。そしてこの“とあるイモータル”とは十中八九ラタトスクのこと、じゃあ“世界を滅ぼしかけた”というのは……もしかして!
『きっとサバタ兄ちゃんは一度ヴァナルガンドに取り込まれた事がある。せやけどそれで死ぬんやったら私たちは最初からサバタ兄ちゃんと出会っとらん! つまり……!』
「!……まだ希望は潰えていない。そういうことだね、はやて!」
『せや! こっちの私たちは戦う事は出来へんけど、それでも皆が勝つと、勝って皆で帰って来ると信じることなら出来る! だから―――!!』
「はやて!!」
まだ収まっていない次元震の影響で激しいノイズが走り、通信が切れてしまった。まだ話してる途中だったけど、はやてが最後に言おうとした言葉は私たち全員、心からちゃんとわかっていた。
「諦めない……」
右を見ると私の手にあるバルディッシュが瞬き、立ち上がる力が湧いた。
「もう……諦めない!」
左を見るとアルフが私を支えてくれて、戦う力が湧き上がってきた。
「だって、まだ終わってなんかいないのだから! だからまだ……私は戦える!!」
後ろを見ると、アリシアを失った時の自分と今の私を重ねていたらしい母さんが忌々しそうに、でもよく見たら少し憑き物が落ちたような顔をしていた。
「………………………はぁ〜〜〜っ、何だかアイツ一人のせい
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