”彼女”
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て耳を澄ませ、ヴァナルガンドの破壊衝動の声に混じっている、外の声を聞き逃さないようにする。私とアリシアちゃんも同様に目を閉じ、皆の心を感じ取ろうとする。
…………………。
『くっ……ここまで来て……! でも……でも私は……!』
『私たちは! もう二度と諦めたりはしない!!』
『その通り! あたしらの力はまだこんなものじゃないよ!』
『うん! 私たちは……人間は絶対に諦めないの!』
『そうだよ! それにもし、僕たちが力尽きても終わりなんかじゃない……!』
『ああ! 僕たちの事を記憶している誰かがいる限り、この想いは繋がっていくんだ!』
『だから……俺達の世界は、イモータルの思い通りになんかならない!』
聞こえたよ……皆の声が。
見えたよ……皆の心にある太陽が!
帰り道が示された事で瞑想を止めて目を開けた私は、カーミラさんを見つめるサバタさんの顔が見えた。
「……カーミラ、やはりどうしても来れないのか?」
「はい……ヴァナルガンドは次元の壁をも破壊する力を宿しています。再び澱みの世界に落ちた所で、いずれ現世に自力で這い出るかもしれませんので、私の石化の力で封印しておいた方がよろしいのです。そうすればもし何らかの理由で石化を解かれても、ヴァナルガンドが現世に出るまで時間稼ぎが出来ますから」
「…………すまない」
「サバタさま……では最後に一つだけ。あなたのおかげで救われた心があった事を、時々で良いので思い出してください。それだけが私の、最後のワガママです」
「ああ……ありがとう……カーミラ。その願いは忘れない、必ず」
「はい……!」
「……よし、行くぞ。明日を取り戻しに!」
サバタさんの言葉に鼓舞され、私とアリシアちゃんは威勢よく返事をした。そんな私たちをカーミラさんは聖母のような笑顔で見送ってくれた。
「さようなら、アリシアさま。さようなら、すずかさま。さようなら……私が愛した暗黒少年」
「さらば愛しき魔女……わが青春の幻影よ! 俺はもう、ふり向きはしない。生と死の輪廻、その果てで……いつかまた、めぐり会おう!!」
私たちを乗せたバイクをサバタさんが発進させ、カーミラさんから受け取った大剣を振るってヴァナルガンドの外へ続く見えない壁をぶち抜き、私たちは私たちが生きる世界へ帰る道を突っ切る。
その途中、ヴァナルガンドの影らしき物体が私たちの進路を遮ろうと妨害してきた。“ウーズ”と言う名前らしいそれには実体がなく、倒す事は出来ないようだけど、脱出において相手をする意味は無いらしい。なのでサバタさんは障害物のウーズは巧みなバイクテクニックで避け、追いかけてくる“ブラックスケルトン”という真っ黒なガイコツには、このバイクに備え付けられている“
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