”彼女”
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〜〜Side of なのは〜〜
「ぁ……ぁぁ……!」
もはや言葉になっていない声が漏れて茫然自失になっているフェイトちゃん。だけど私も人のことを言えない。彼どころか大切な友達まで吸収されてしまったのだから、私の心には二人を失った怒り、憎しみ、慟哭、そういった負の感情が激しく渦巻いていた。
「おやおや、まさか彼が再びヴァナルガンドの贄となってくれるとは、嬉しい誤算ですね。ウフフフフ……!」
癪に障る顔で嗤うラタトスクの声を聞き、その内容に私の怒りの琴線が思いっきり弾かれていく。それは私だけでなく、お兄ちゃん、フェイトちゃん、アルフさん、ユーノ君、クロノ君、そして同じようにアリシアの遺体も奪われたプレシアさんまでもが憤怒の炎を燃やしていた。
「さて、これからわたくしは破壊の獣に取り込ませた月村すずかを介してヴァナルガンドを操る作業に入ります。邪魔をしなければ今すぐには殺さないであげましょう」
「……さ……い……!」
「それともアンデッドとしてわたくしの配下にして差し上げましょうか? あなた方魔導師なら確実に上位種へ吸血変異するでしょうから歓迎しますよ」
「うるさい……!」
「今のうちにわたくしの寵愛を受けられる人形となっていた方が身のためですよ。たかが人間の分際で破壊の王となったわたくしに勝てるわけがないのですから」
「うるさい!! よくも……よくも二人を!!」
私のリンカーコアからありったけの魔力をレイジングハートの先端に集中させ、ラタトスクを射程に入れる。魔力の集束を前にしてもラタトスクは余裕綽々とした態度を崩さずに、手にしていた鞭を頭上で回転させる。
「二人を……返せぇえええええ!!!」
私の得意な集束砲撃ディバインバスター。いつもより巨大に膨らんだその光がラタトスクに迫り……、
「はぁぁっ!!」
異次元転移で避けられてしまった。避けられた砲撃はそのまま通り過ぎ、ヴァナルガンドの顔に直撃する。あんまりダメージは効いて無さそうだけど、衝撃でフェイトちゃん達にしばらく攻撃出来ないようにひるませる事は出来た。
「どこッ!?」
いくらイモータルでも瞬間転移だとあまり距離を稼げないはず。それにヴァナルガンドがここにいるんだから近くに居る事は間違いない。だから周りを探ろうとした時……、
「チェーンバインド!!」
「ブレイズキャノン!!」
急にユーノ君の鎖とクロノ君の火炎弾が私の背後に放たれる。二人の魔法で発生した風が私の頬を撫で、背後の様子をささやいてきた。
「ちぃっ! 小癪な……」
振り返ると、私の後ろに転移して鞭を振りかぶっていたラタトスクの腕を翠色の鎖が縛っていて、そこに火炎弾の追撃が降り注いでいた。私が不意打ちで攻撃される所で、ギ
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