激突
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世界で育った俺と同じになる前に、あるべき場所に戻れるようにな」
「どういう意味かしら? まさかと思うけど、あなたは……」
「質問をしているのはこちらだ。それで? おまえはフェイトをどう思っている?」
「フェイトは………フェイトよ。私の命令をちゃんと聞けない不肖の子だから相応にしつけているけど」
「…………」
妙に認めたくなさそうな言い方をするプレシアの様子だが、それを見逃さなかったサバタは彼女の内側に潜む何かを感じていた。それが何なのか当人達では無く第三者がわかるとは、それも一種の皮肉だろうと思い、サバタはため息を吐いた。
「まあいい、話を戻そう。次に……以前から気になっていたのだが、そもそもジュエルシードとは何だ? なぜあんな物があの街にあるのか、集めさせているおまえなら知っているはずだろう?」
「ふん……それは私から聞くより、白い魔導師の傍にいる小動物に訊いた方が良いわ。なにせ当事者なのだから」
「そうか。……ひとまずおれの目的は達した、ここから帰らせてもらう」
あっさり踵を返してフェイトの所に帰ろうとするサバタに、力が抜けたプレシアは思わず間の抜けた声を出す。
「あ、あら? 私の計画の内容を訊かなくていいの?」
「先程も言ったが、今の所何が何でもと言う程興味が湧かない。最低限フェイトのしつけとやらだけは改めてもらいたいがな。おまえがジュエルシードを使ってどうしようと構わないが、せいぜいあの星は巻き込まないでもらいたいものだ」
「……もし巻き込んだら、その時は?」
「わざわざ言わなくても、聡いおまえならわかるだろう」
そう言って一度振り返り、試すような笑みを浮かべたサバタを前にしてプレシアも久しく動かさなかった頬の筋肉を吊り上げる。
「そうね、私とした事が野暮な質問をしたわ」
「フッ……流石は研究者といった所か。話が早くて助かる」
「帰る前に言っておくけど、管理局にはここの事や私の事は話さないで。あいつらに計画の邪魔をされるわけにもいかないから」
「そっちが邪魔さえしなければ、こちらも不利にするような事はしない。おれとしてはあの星から危険物を取り除き、さっさとイモータルを片付ける準備をしたいのだ」
「イモータルとかはあなたの事情らしいけど、そっちが計画の事を訊かなかったのに私だけが訊くのはフェアじゃないから、あえて訊かない事にするわ」
「そうか。後でどうしても知りたくなったのなら、既に話してあるフェイトに訊くのだな。何度も説明するのは少々面倒だ」
この言葉を最後に暗黒少年はこの部屋を立ち去り、後には先程の戦闘で少し荒れた部屋と、彼に言われたある言葉が耳に残って離れない大魔導師がいるだけだった。
「『愛を注いだことが無い』か…
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