第1話Bパート『負け犬にウイルス』
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「これは?」
チケットとは、第三新東京市、市内でのみ通用する擬似通貨であるとのこと。
本来は、大会期間中、参加者のみに使用させる目的で準備したらしいのだが、
現在では第三新東京市の一般市民にも浸透しているという。
小売商店から公共料金の支払いまで、広く使用可能だというからなかなかの利便性。
世界中からの参加者が持ち込む外貨が思わぬ影響を与えないようにと設けられた措置らしい。
基本的に日本銀行券との交換しかできないとのこと。
渡されたのは5万チケット、日本円換算で5万円分。
当座の生活費としてはわずかなものだが、住居は大会本部が借り上げたマンション・アパートが無償で利用できるとのこと。
参加費も不要で大盤振る舞いにも思えるが、長い期間をこの都市で生活する以上
結局、渡されたチケット以上の金銭が都市内で消費される。
大会本部がこの都市の経済と結びついているとすれば、特に損もしないのかもしれない。
そのあたりを詳しく聞いている内に日が暮れていた。
受付を出た際に長居したことを詫びると、最終日で暇だから気にしないでくださいとの返事。
複数ある受付すべてあわせても、今日受け付けたのは10ペアにも満たないらしい。
箱根湯本の受付では、受付手続き前の参加者同士の私闘というトラブルが発生したらしい。
そちらで参加受付をやって、巻き込まれたりしなくて、よかった。
なにより、受付嬢が可愛かったし。
◇ ◇ 5 ◇ ◇
センタービル内いくつかの窓口をまわり、残っていたアパートを新たな住処として確保したりといった雑務をこなす。
日付がかわる前後、大会の開会セレモニーが行われるというから、一応顔をだすべきだろう。
23:30
花火が打ち上げられた。
『皆さん、聖魔杯へようこそ!』
明朗快活な女性の声が響く。
自らの名乗りによれば、“霧島レナ”、大会実行委員の責任者にして司会者であるらしい。
つづけて参加者数の発表。1512組、それぞれがペアであるから総人数は3000人を超える。
さらに、大会の手引きに記載されていないような注意がいくつかあるらしい。
『まず第一に…』
『勝負に際し、力に訴える場面が多くあるでしょう。しかしその際、大会本部として殺人はを認めません。
人間以外の参加者に対しても、殺人に相当する行為を認めません。これに抵触したペアはその時点で失格とします』
殺傷力ある武器の持ち込みを認めながら、それは…と参加者の間から不満の声が上がる。
『確かにそのとおり!
しかし大会の答えはこれです』
携帯電話にも見えるデバイスを取り出し、掲げる。
『実はこの都市
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