第1話Bパート『負け犬にウイルス』
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「実は、肉親が第三新東京市に住んでいるらしい」
「ではでは、入場券だけ買って目的地まで行くですか?
駅の改札まで迎えに来てもらって。乗り越し分扱いで支払わせるとか」
否。忙しそうな感じだし、たぶん無理。
「そうではなく、数年ぶりに手紙らしきものが届いていたな。と。」
「らしき…て、手紙では無かったですか?」
開封もせず、放置していたのだ。
「実は、届いた封書を開かず溜める畑の人でしたか。マスター」
そんなことは無い。あの人、何か苦手だというだけの話。
それはともかく『親展』、『折り曲げ不可』との注記とか、手紙以外も入ってる感じの封筒だった筈。
物の少ない部屋だから探せばすぐ見つかった。
ピザ屋のチラシなどの古紙の束に挟まっていた。
封筒を無造作に破くと、保護用の厚紙ではさまれた中に
A4のプリンタ用紙1枚と、それにクリップで留められた、カード類?
一番前に、目つきの悪い若者の顔写真が印刷された、ICカード。だろうか?
よく見たら印刷されているのは自分の写真だった。就職活動時に撮ったものだろう。
なんだこりゃ。
ともかく、クリップをはずし他を確認する。
「それロンですよ。マスターっ」
ウィル子の声が弾む。
最寄駅から、第三新東京市中央駅までの切符だった。しかも特急券つきだ。
「しかし、明日の便の指定席券のようだが」
彼の戸籍上の氏名と、列車と座席の指定が記載されている。
「切符の変更ぐらい駅の窓口で受け付けてるのですよーっ。
記載氏名どおりの身分証の類があればノー問題なのです」
まあ運転免許くらいなら、ある。
ともかく、目処が立った。
一応、残りを確認しておく。有価値なものをいままで見逃していたわけだし。
なんだこりゃ。Part2。
女性の写真があった。客観的には美人に分類していいだろう。
薄着であり、厚みのある胸部をさらに強調するポーズでピースサインしていた。
さらに『駅まで迎えに行くから待て』という意図の手書きメッセージとキスマーク。
そしてトドメの、なんだこりゃ。Part3。
A4の紙はミスプリントを転用した保護紙のように見えていたのだが、実は手紙だったようだ。
端に手書きでメッセージがあった。
『来い。碇ゲンドウ』
頭が悪いのか、オカシイのかは分からないが。まともな人間はいないのだろうか。
ノートパソコンも収まるバッグを見繕って少ない荷物をまとめ
件の手紙も一緒につめると、それを背負って部屋を出た。
無事、切符の交換を済まし、一人とパソコン一台は列車に揺られた。
座席のコンセントに電源ケーブルを繋ぎ、ウィル子は画面に姿を映す。
切符をもたない身
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