第1話Bパート『負け犬にウイルス』
[2/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
さまざまなメディアでみられ大きな話題も呼んだ。
それは、次のような内容で――
***参加者募集***
大会名:『聖魔杯』
会場 :第三新東京市 市内全域
優勝賞品:『聖魔王』の称号
副賞 :聖魔杯
大会期間:優勝者が決定するまで
優勝資格:勝利し続けること
勝負方法:問わず
**********
なにより、『参加資格』が
『人間と、自立した意思を持つ人間以外の者の、ペア』という現実離れした内容。
広告主が不明ということもあり、ゲーム会社の度を越した悪ふざけCMと判断されている。
ともかく、今の彼には一切関係のない話。
店員の視線が痛くならないうちに、そそくさと店を出た。
来た道と別ルートでアパートに戻る。
同じ道を何度も通ると、不審者として通報されかねない。いやな学習結果だった。
ふと、違和感を感じて目を向けた先。
ゴミ集積場に1台のノートパソコンが転がっていた。
何の気なしに近づいてみる。
ビニールの緩衝材にくるまれた、やや旧式だが
見た目上大きな傷は見当たらない。
付属のケーブル類が一緒に収まっている。
――箱・保証書は無いが。
売ったらわずかなりとて金になるかと、
周囲に人の目が無いことを確認してから
手を、伸ばした。
ぞくり、と常にはない寒気を感じた。
まだ3月、風邪でもひいたのかもしれない。
帰って布団に包まるか…いや、
悪性の風邪にやられて病死してしまうというのも、楽な死に方かもしれない。
彼は、拾ったパソコンを抱えて足早に部屋に戻った。
◇ ◇ 2 ◇ ◇
部屋の片隅にノートパソコンを放置して、敷きっぱなしの布団に包まる。
パソコンの買取をやっている店はそこそこの距離があるし、
今はもう彼が外出しない時間帯に差しかかっている。
室内で息を潜めてその時間を過ごす。それだけだ。
「いや。何故、寝るですか!?」
目を瞑った彼の耳に飛び込んできたのは、耳慣れない少女の声。
頭まで被っていた布団を剥ぐってみると、目の前に少女が立っていた。
…いや、浮いていた。
まるで舞台衣装のようなドレス。アイドルがライブ中の格好のまま外に飛び出したような。
場違い。あるいは勘違い。という言葉しか浮かばない。
「せっかくノーパソ拾っておきながら放置ってっ。やるべきことはいっぱいあるのですよー!!」
口を挟む暇も無く捲くし立てられる。
「まずは充電、バッテリーがあったまったところでおもむろに電源オン。
前の持ち主の個人データを漁るとか、ムフフなファイルを開くとか、
削除したぐらいで消えたと勘違いするなよ、ふははっHDDからサルベージだ−
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ