憑依
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存在が消えかけている原因は魂の欠損だ、ならばそれが修復するまで存在を保てばいい」
『そうだけど、自力じゃそれが無理なんだよね。だからどうすればいいの?』
「おれの中に流れている月光仔の血を使えば魂の力を補填し、存在を安定させる事ができる。つまりおまえが元の力を取り戻すまで、おれの中に入っていればいい訳だ」
『要するに私がお兄ちゃんに憑りつくって事? それで助かるなら私は良いけど、幽霊に憑りつかれてお兄ちゃんは耐えられるの?』
幽霊とは精神体の一種でもあるから憑りついた人の精神に直接触れられる存在でもある、故に精神が崩壊したり発狂したりする可能性を彼女は懸念しているようだ。消えかけのくせに生者を気遣うとは、とんだお人好しの亡霊だ。
「以前にも他の意思を取り込んだ経験があるから問題ない。それよりもおまえだ。憑りつく以上、その間は常に行動を共にする事になるが……いいのか?」
『いいよ。私を助けてくれたお兄ちゃんと一緒に過ごすって、むしろドンと来いなんだけどね』
「……そうか。そういえば名乗って無かったが、おれはサバタだ。しばらく共存するならよろしく頼むぞ」
『私は……ア、アリ……何だっけ?』
「おれに訊かれても知らん。適当に“アリス”でも“アリー・アル・サー○ェス”でもいいから自分で決めてくれ」
『わかったけど最後のは戦争狂になりそうだからダメ! だから名前を思い出すまで私は“アリス”って名乗る事にするよ。お兄ちゃん、これからよろしくね!』
太陽のような笑顔の彼女から、つい何となく目を逸らして「さっさと繋げ」と手を差し出す。その手を彼女が掴むと、吸い寄せられるようにアリスの姿がおれと重なって同化し、月の輝きがおれ達を包み込む。おてんこやカーミラの時のようにアリスの意識が混ざらない様に力を使い、精神世界に彼女の居住領域を構築。儚い輝きが残るアリスの魂がそこに安定し、思考が独立したまま彼女の心とリンクできるようになった。
『へぇ〜、これがお兄ちゃんと共存するって感じなんだね〜。何だか気持ちいいかも……』
[おまえの魂に月の力を注ぐことで、微量ながらリラクゼーションが働くみたいだな。アリスはおてんこやカーミラのような特別な存在でもないから、その影響が出ているようだ]
『こんな影響ならもっと強くてもいいかもね〜』
[やり過ぎて悪影響が出たらこっちが困る。忠告しておくが、あくまで仮住まいさせているだけで、永住させるつもりはないからな?]
『むぅ〜、それくらいわかってるよ〜だ』
[なら構わん。それとリンク中、おれの傍なら少しの間飛び回ることも可能だ。気分を変えたくなったら偶には動き回るといい]
『オッケー♪』
「[ふぅ、大体こんなところか。
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