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リリなのinボクらの太陽サーガ
憑依
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「ふ〜、温泉気持ち良かったなぁ〜♪ 疲れが溶けていくようやったで〜」

「そうだな、まぁ有意義なひと時だった。……変な拾い物もしたが」

帰りのバス内で、はやて達は今回の温泉旅行を思い返してホクホク顔で満喫しきった表情を浮かべ、昨日の夜に高町なのはと戦って寝るのが遅くなったフェイトとアルフは二人しておれの肩に寄りかかって気持ちよさそうに寝息を立てている。それもそうだろう。

昨日で【3つ】のジュエルシードを手に入れたのだから。

む、フェイトが手にしたのは【2つ】のはずだから【3つ】はおかしい、だと? 確かにフェイトが回収したのは昨日発動した物と高町なのはから奪った物の2つだ。が、実は昨夜発動したのはもう一つあり、はやてとおれがそれを見つけて回収していたのだ。






昨夜まで時を遡る。

「月が綺麗ですね」

「そうだな、確かに満月だからな」

「あちゃ〜サバタ兄ちゃんはやっぱこのネタ知らんかぁ」

「ネタだったのか?」

「日本人らしい奥ゆかしい表現なんやけど、流石に世紀末世界出身のサバタ兄ちゃんが知っとるわけなかったか」

おれとはやてはフェイト達がいるであろう温泉街中心部から逆方向の、山の森がある方へ軽く出歩いている。なぜ二人でそこに向かっているかと言うと、この温泉街のパンフレットを見ていたはやてが「ここから山を少し登った所にある秘湯に行きたい!」と言った事で、風呂上がりの時のようにおれは彼女を背負って外を歩く事になったわけだ。まあ、バリアフリーの行き届いた旅館の中と違い外は階段もあって車イスでは通れないから、こういう時ぐらいは大目に見てやろう。

「森林浴なんて久しぶりやぁ〜。空気が美味しいなぁ〜」

「……世紀末世界では、こんな澄み切った空気は吸血変異の影響でどこにも存在していない。空気だけでここまで違うとはおれも驚きだ」

「なんか話を聞けば聞くほど、サバタ兄ちゃんの世界が相当荒廃しとるのが伝わって来るなぁ。私や地球がこうして元気でいられる事にほんま、感謝せなアカンな」

はやてに何か自然保護の感性が芽生えかけているが、それよりおれは夜とはいえこの辺りが妙に静かなことが気がかりだった。おれ達以外の生物の気配がほとんど無い上、禍々しい気配もどこかから漂っている。はやても流石に変だと思ったらしく、神経を張りつめる。

「何か来る……サバタ兄ちゃん、何だろう?」

「わからん。が、人ではない。……………っ、来る!」

警戒して身構えるおれ達の視界上にある木々の葉が枯れて落ちていく中、湿った音を立ててソレは現れた。どす黒い粘土状の塊のような触手に全身を覆われ、妖しく光る赤い目が不気味さを際立たせている。そいつに触れた木々は生命力を奪われているのか、凄まじい勢いで枯れて
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