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戦闘城塞エヴァンゲリオン
第1話Aパート『戦闘城塞』
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最高責任者の言葉に、ミサトは沈黙する。

「承知した。乗ろう」

怖い貌同士、司令とヒデオの視線が一瞬交錯した。


  ◇  ◇  4  ◇  ◇


「要は、自分自身の体を動かすように、
そのイメージを強く意識しろということですね?」

エヴァンゲリオンの操縦について説明を受けた後、
“エントリープラグ”と呼ばれる操縦席に座ったヒデオが
モニタ越しにリツコに言った。

モニタのつながった先は先ほどの“ケージ”ではなく、
“発令所”とよばれる戦闘指揮を行う場所だ。
ヒデオが搭乗準備にかかった時点で、
ミサトとリツコは発令所に移動している。

「基本はそのとおり。
自分の体と初号機の体、感覚の混乱には気をつけて。
相手を蹴ろうとして、プラグ内の壁に足をぶつけたりしないようにね」

冗談めかした言葉を織り交ぜ、説明を続けるリツコ。

「あと、“アンビリカルケーブル”の抜き取りや
装甲にマウントされている“ウエポンラック”の開閉操作のように
人体には無いものは、コンソールからのキー操作になるわ。
イメージしようがないものね。
まだ配備されていないけれど、銃火器の操作もそれに準じるわ」

そちらについても、ひととおりの説明があったが
とっさの場面で操作ができるレベルではない。
肉弾戦(たたかう)以外のコマンドをおよそ持たない状態である。


そうしている間にも、発進準備がすすむ。
“LCL”と呼ばれる液体によってエントリープラグを満たされた際には、
多少動揺するかとも思われたが、ほとんど反応らしい反応がない。

「…ホント、何事にも動じないわねぇ」
発進準備や操縦のレクチャーの間、手持ち無沙汰にしていたミサトが
呆れたように呟く。

そして、“シンクロ”スタート。
パイロットの思考がエヴァンゲリオンに同期して操縦可能な状態になる。

「シンクロ率、出ます。…15.1%!」
「初号機、起動します。」
初号機のデータをモニタリングしていた各オペレータからの報告が、順調な進行を示す。

「いけるの?」
「起動指数ギリギリだけどね?…いけるわ」
シンクロ率の数値が低いように感じてミサトが訊く。
もっとも、標準がどれくらいで最低いくつ要るかも彼女はよく分かっていない。
だから、リツコの返答にひとまず安堵した。



「かまいませんね?」
ミサトは、発令所の一段高い位置にある席に座ったゲンドウを振り仰いで確認した。

「勿論だ。“使徒”を倒す。それなくして我々人類に、未来はない」

重々しく頷く、その声を背に。前を見据え、ミサトは宣言した。

「発進!」


…ヒデオ君、死なないでよ。と、ミサトは内心で願った。




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