第1話Aパート『戦闘城塞』
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れやれとジト目で見てから、
青年に視線を移した。
「彼がそう?」
「そ。マルドゥックの報告書に曰く、第三の“適格者”」
端的な質問に、なぜか自信ありげにミサトが答える。
「ちょーっと愛想がないけど、期待できそーよ」
「川村、ヒデオです。よろしく」
愛想がない。といわれたからでもないだろうが、
青年が一歩前に出てリツコに挨拶した。
「E計画主任研究員、赤木リツコよ。
まぁ、ネルフ本部技術部長の肩書きの方が分かり易いかしらね。」
ヒデオの名乗りが“碇シンジ”でないことに、染めていない黒い眉を片方上げ
しかしそれ以上反応することなく彼女は挨拶を返した。
「ともかく、“ケージ”に向かうわよ。ミサト。
ついて来てもらえるかしら」
ミサト、次いでヒデオに言う。
無言で頷くヒデオを、リツコが先導して歩き出した。
「で、なんとかなるわけ?」
道すがら、ミサトがリツコに話を振る。
それに答えたわけでもないが、本部内にアナウンスが流れる。
『繰り返します。国連軍より、ネルフ本部に指揮権が委譲されました。
本部はこれより迎撃体制にはいります。』
『総員に告ぐ、第二種戦闘配置。
目標の接近を持って第一種戦闘配置に移行する。
以後、予期せよ』
「――だ、そうよ?いよいよ矢面に立つわね。
…聞きたいのは初号機のこと?」
「ええ」
「起動確率、…まあ言っても仕方ないわね。億千万にひとつと云った所ね」
「それ、動かないって言ってんじゃないの?」
「失礼ね。どんなに確率が低かろうと、0で無い限り有り得ないことなんて無いのよ」
「まぁ後は、ぶっつけ本番。やってみるしかないわけね」
皮肉っぽい口調でのやりとりながら、それほどギスギスした雰囲気にならないのは
ふたりが気安い間柄であることを示していた。
とともに、会話内容自体お互いに既知のものだということだろう。
青年は、二人の会話に特に参加するようなこともなかった。
◇ ◇ 3 ◇ ◇
たどり着いた“ケージ”、要は広大な格納庫だが
不透明な液体が満たされ底まで見通せない。
庫内の、キャットウォーク上を作業員らしき人間が忙しなく行き交うなか
中央の通路に3人は立っていた。
液体に大部分が浸かった状態の“それ”に近づき、姿形がはっきり分かったところでヒデオは呟いた。
「顔…、関式?」
たしかにそれは、“関式”――関節式機動器の略。関節部の屈伸や回転によって動作する機械である。一般にはいわゆる人型ロボットと捉われがちだが、ロボットと同義ではない――に、見えた。
しかし、否定される。
「違うわ。これはヒトの作り出した、究極の汎用決
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