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戦闘城塞エヴァンゲリオン
第1話Aパート『戦闘城塞』
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む巨影が海上自衛隊のソナーに引っかかった。

相模湾付近から上陸した時点で正式に“使徒”と確認された。
急ごしらえで水際に展開した戦略自衛隊・国連軍と、現在も交戦中である。

進行予測経路上の住民に対し、避難勧告が出されたのもつい数時間前のことで
列車の運転停止もそれによるものだ。

多少の混乱はあったが、
いまだ第三進東京市は静かなものだった。


駅前ロータリーから程近くのビル、立体駐車場にも似た入り口から車を入れると、
車は巨大なエレベータによって地下へ送られた。


「これ、読んでおいてくれる?」
ハンドルを手放したミサトは、助手席に座るヒデオに
見学者向けに作られたパンフレットを手渡した。一般公開しているわけでもないので、政府かスポンサー企業の関係者に向けたものだ。

表紙にはどことなく間の抜けたフォントで『ようこそ、Nerv(ネルフ)()』の文字。
「特務機関、…ネルフ」
「そ。国連直属の非公開組織」
「…そうですか」
興味のかけらも感じさせない声音で返される。

「ちょっとー。あなたのお父さんのいるところなのよ?
お父さんの仕事とか、興味ないの?」
顔を合わせて以来、終始変わらぬ反応の薄さに
ミサトはジト目で訊いた。

「もう、子供ではないので。
川村の、父からは人命を守るための仕事らしいとだけ
聞いて育ちました」

まあ、信じてないけど。と続けそうな感情の篭らない声に
ミサトはそれ以上の言葉をなくした。


エレベータは地下の開けた空間に差し掛かった。
強化ガラスの壁面から、その地下とは思えない明るさの景色が見える。
地底湖を中心に地上と変わらぬ木々の緑。四角錘(ピラミッド)型の巨大な建造物。

「っ? …ジオ、フロント」
「そう、これが私たちの秘密基地ネルフ本部。
ここが人類最初で最後の砦。戦闘城塞となる場所よ」

ヒデオの呟きに対し、胸を張り誇らしげに語るミサト。
彼はわずかに目を見開き彼女に視線を送った。


  ◇  ◇  2  ◇  ◇


「あっれー、おっかしーいなー」
本部内に入ってから、ヒデオを連れて通路を進んでいたのだが、
ミサトの様子がだんだんおかしくなり
上のような呟きが漏れるようになった。
同じフロアで3回連続で同じ方向に曲がったりは普通しないはずだから、
迷ったのだろう。

そうやって、進んでいる所で救いの声がかかった。

「遅いわよ、葛城一尉(いちい)。また、迷ったの?」
金髪に白衣の女性が立っていた。
他人行儀な呼び方だったが、
ミサトと気安い間柄であると思わせる声音だった。

「ゴミン!リツコ。
本部の構造には、まだ詳しくないのよぉ。」

言い訳するミサトをや
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