相談
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ジュエルシードならおれが暗黒転移で回収しておく。だから逃げる事を最優先にするよう、フェイトに重々言い聞かせておくんだ」
「だけどサバタは一人で大丈夫なのかい?」
「問題ない。暗黒転移は瞬時に発動できる上、連続使用が可能だ。速度を競うなら全力で逃げるおまえ達だろうと一瞬で追い抜くかもしれんぞ?」
「おっと、それならあたし達が先に逃げても安心だね」
「そういう事だ。それにダークマターの性質は魔導師にとって天敵だから、敵の魔導師と戦う事になろうと自力で突破できるだろうしな」
「そりゃあ確かに、魔力を文字通り消滅させられるんじゃ普通の魔法は役に立たないよねぇ……」
アルフが呆れ交じりに嘆息する。以前ジュエルシードの捜索に出た日、暗黒銃が魔法に対してどれほどの威力を持つのか、アルフが張ったシールドに撃つ事で実験した事がある。それで暗黒ショットが直撃した瞬間、それなりに強固なはずのシールドがまるで霧が掻き消されるように霧散したのだ。なお、ショットも着弾と同時に消滅していたので、アルフにダメージはない。
この実験と、以前ヴァンパイアをブラックホールで動きを封じた際、フェイトの魔法はダメージが通っていた経験から次の結論が導かれる。
“活性化した暗黒物質は魔力素を喰うため、アンデッドを魔導師が相手にしてもフェイトのような変換資質が無いと現状の魔法ではまともに戦えない”という事だ。
……地味に時空管理局や多くの魔導師の存在意義を揺るがしているな。ま、ヴァンパイア同様、体内にダークマターを宿しているおれも同罪か。
フェイトが落ち込んでいた理由から、いつの間にか脱線していた。ともあれ、フェイトにはフェイトなりの戦う理由がある。その過程で傷ついた者への感情には、本人が心を強くして耐えるしかない。もっとも、フェイトがその程度で立ち止まるとは思えんが。
「……ねぇサバタ」
「どうした?」
「私って、間違ってるのかな……? 倒した相手の事をいつまでも引きずるなんて……」
「……戦士としては欠点だろうが、人としては美点だろうな。だから一概に正否を問うものではない。結局大事なのは、己の心の持ちようだ」
「私の……心?」
「そうだ。フェイトが知りたいのは、目的のために泥にまみれてもなお、前に進む覚悟。他者を蹴落とし、己の望みのために戦い続ける意思だ。……世の中というのは全員が全員、望みを叶えられるわけではない。だからこそ、自分以外の人間の望みを踏み潰してでも戦い続けるしかないのだ」
「誰かが救われても、別の誰かが救われない。悲しい摂理だね……」
「アルフから聞いた、白い魔導師を落とした事に罪悪感を抱いていると。だがフェイトはジュエルシードを集めることをやめないのだろう?」
「うん。私には
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