邂逅
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、手ぇ握っててもええ……?」
「………世話のかかる奴だ」
おれ達が来るまでずっと一人でいたはやてが人の温もりを恋しいと思うのは至極当然のことであり、誰か助けを求められる存在が近くにいてほしいと思ったのだろう。病気で心の寂しさが増し、本来の8歳児らしい素顔が垣間見えている今、はやてが放つ言葉は彼女の心そのものでもあった。
「えへへ……サバタ兄ちゃんの手、おっきくてあったかいなぁ〜」
「そうか……何も救えない手だけどな」
「ううん、そんなことあらへんよ。だって今こうして、私を安心させてくれとるやないか。だから何も救えないなんて違うわ……」
「…………」
「この手はちゃんと救えとるよ。私も……フェイトちゃんも……アルフ姉ちゃんも…………。せやから………兄ちゃんが………ても私が………………………すぅ……」
話の途中ではやてが寝てしまった。やはり日頃の疲れが溜まってたのだろう。彼女の布団をかけ直した時に見えた表情は実に穏やかだった。それは彼女の両親が生きていた頃に見せていたのと同じくらい安らかな眠りだったことを、おれは知らない。
「救えている、か。……なぁカーミラ、おまえならどう思う……? 暗黒の道を進んできたおれがこんなことをしているのは、やはり滑稽だろうか?」
そっと呟いた言葉を聞いた月は、ただ静かに淡い光を瞬かせるだけだった。
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