邂逅
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「もういい、おまえ達の言い分は既にわかってる。とりあえず起き上がっても大丈夫という事は、体調はある程度良くなったんだな?」
「う〜ん、少し寝たら咳が出なくなったぐらいで、まだ身体は少しだるいかな?」
「そうか。言っておくが、風邪は治りかけが危ない。3人とも気を付けろよ?」
『は〜い』
三人とも返事は良いのだが、さっきからテレビ画面に映っている筋肉の男が妙に気になる。……ともあれ、いつも食事ははやてが作ってくれていたのだが、昼同様、病人に食事を作らせる訳にもいかないのでおれが動く事にした。
「はやて。おれが夕食を作るから台所を使わせてもらうぞ」
「え? サバタ兄ちゃん、おかゆ以外に料理できるん?」
「人並みにな。これまで(育ての)親が全く作らなかったから、基本的に自分でどうにかしなければならなかったんだ」
事実、ヘルはヴァンパイアだったから人の食事は必要ない。人の生き血を吸うヴァンパイアが料理をするわけもなく、必要に駆られて自然とそうなった。ヴァンパイアに囲まれて育った身だから自炊にも苦労したものだ。
だが、とある場所(確か【中華料理店 泰山】と言う名前の店跡)で手に入れたレシピにあった、とにかく香辛料をふんだんに使った超激辛麻婆豆腐はヘルもなぜか気に入っていた。なんでも「殺人的な辛味の中に隠れている、あるのか無いのかわからない絶妙な味が病みつきになる」そうだ。
元々嫌がらせで作った代物なのだが……。というかイモータルが人間の食事を気に入ってどうするんだ……。
なお、クイーンが口にしたのは2回目以降のもので、最初に麻婆豆腐を食べたのは実はザジだったりする。愉悦? なんのことやら。とりあえずその時の話は彼女の生い立ちに関わるからまたの機会にな。
「は〜、それなら味も大丈夫そうやし、今日はそのまま任せるわ」
「と言っても今回重たいモノは作らんぞ。おまえ達が胃もたれしたいというなら別に構わんが」
「じゃあ風邪治ってから、本格的な物を作ってもらおっかな?」
「次の機会があれば、な」
ひとまず今日は世紀末世界でも食べられていたチキンスープをメインに作る事にした。「おかゆは味が薄過ぎて飽きちゃうよ!」と昼にアルフが嘆いていたものだから、ある程度要望に応えて少し味の濃いコレを出させてもらった。結果は中々の高評価であった。
「………腹の皮が張れば目の皮がたるむ、とどこかで聞いたな」
夕食後、薬を飲んだ彼女たちが布団で横になると、そう時間が経たないうちにフェイトとアルフの寝息が聞こえてきた。買ってきた風邪薬が無駄にならず役に立って良かった。
「なぁ、サバタ兄ちゃん……」
「どうしたはやて、眠れないのか?」
「うん。ごめんやけど私が寝るまで
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