暁 〜小説投稿サイト〜
101番目の百物語 畏集いし百鬼夜行
第八話
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いたことで固まっているのか、それとも呆れているのか、彼女は喋ろうとしない。声をかけようか、と思い始めたところで顔をあげて、

夢予告(デス・ノゥティス)

 そのつぶやきと同時に、俺は夢を見た。
 今目の前にいる彼女が手を差し出し、俺はその手に自分の手を重ねる。ただ、それだけの夢を。

 そして目を開くと……それと全く同じ光景が、目の前に有った。
 なので、俺はためらうことなく、手を重ねる。握手に、応じる。

「アンタ………本当に、バカ。大バカね」
「……え、今の声……」

 そう思った次の瞬間には、目の前は元の風景に戻っていた。俺はそれを、

 タラリラリーン。

 という、Dフォンから流れた音で気付いた。
 それにホッとしていると、携帯が……普通の、元から持っていた携帯が震えだす。
 それを誰からの着信なのかすら確認せずに通話状態にして、耳に当てる。

「はい、もしもし」
『あ、もしもーし!お夕飯の準備、始めちゃっても大丈夫〜?』
「うん、大丈夫だよ姉さん。すぐに帰るから」
『りょーかーい。それじゃ、待ってるよー』

 そう言って電話が切れ、俺は完全に戻ってこれたことを知った。
 何が何だか、まだ分かって無いんだけど、とりあえず。

「帰るか」

 今日の夕食は、何だろな。

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