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101番目の百物語 畏集いし百鬼夜行
第八話
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…」

 そうなれば終わりだ。これが夢オチなんていう都合のいい展開を望めるほどの希望は無い。そのまま死んでしまうのだろう。

「っと……また、かよ……」

 今回も三つ、新しい夢を見た。一つ目ではここに座っていたら車が突っ込んできたので、早いとこ移動するとしよう。銃のセーフティを外し、両手で持って立ち上がる。少し走ると途中でこっちを見て睨んでいるトラックの運転手がいたので、おそらく今回はあの人だったのだろう。
 とかそんなことを考えていたら間髪いれずに次の夢が再現され始め、とっさに反応できなかった俺は片手でその人の足を狙い、まともに照準もつけずに撃ち……全然違う方向に弾が飛んでいったのを見て、そして撃った反動で思いっきり持っていかれた腕に痛みを感じて、しまったと思う。実銃を撃つのは初めてなくせに何やってんだか。せめて両手でホールドして、しっかり狙えよ。
 とはいえ、相手の足を止めることには成功したのでそのまま走り、夢とは違う状況を作り出せた。
 それにしても、ホントに銃声はキツイな……センターファイアとかの選手が耳栓をしてる理由がよく分かった。射場で銃声には慣れてるつもりだったけど、さすがに自分で撃つと耳がつらい。

「よし、これで……ッ!?」

 次も乗り切ろう、とか考えた瞬間に横から鈍器で殴られ、転んでしまう。
 反射的に横に跳んだのか転んだのかは分からないけど、うまいこと痛みを減らすことができた。……本当にどうして、今出来たのやら。そこまで反射神経はよくなかった気が……

「って、今はそれどころじゃない、よな」

 立ちあがって逃げる……のは夢と変わらないので、そのまま座った体勢で銃を構える。今度は両手で持って、ある程度大きさがあったため狙いやすい鈍器に向けて……ひたすら、撃つ。
 相手があれを放してくれない以上、使いものにならなくなるまで撃つしかない。数撃てば当たるもので、残り全弾使いきるころにはもう使い物にならなくなっていたようで、鈍器を持っていたやつは舌打ちと『夢と違う事をするな』と言い残してどこかに行った。

「どうにか、なった……な………」

 捨てるのもどうかと思ったし、弾がどこかで拾えたりなんかしないかとか思ったことから銃をポケットにしまって立ち上がり、次に目指す場所を考える。どうせそこまでは逆らえないのだから、さっき見た映像から何かできないかを探す。実際にそれができるわけではないが、そうして少しでも頭を使っていないと、恐怖で狂いそうになる。もうかなり恐怖にのまれてるから、時間の問題かもしれないけど。

「こんなことを考えていられるうちは、まだ大丈夫だと思いたいなぁ……」

 と、そんなことを考えているうちにもう時間になっていたようで、体が動き出した。このまま自分でも分からないうちにあ
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