第七話
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にしてみれば迷惑だろう。夢宮さんもそのことに気付いたようで、ちょっとバツの悪そうな顔で周りを見る。
「あ……同じヘッドホンを使ってる人がそばにいるみたいで、ちょっと嬉しかったんだけど、やっちゃったわね。近くの席だし色々と聞くかもしれないけど、よろしくね?」
「ああ、よろしく夢宮さん」
「名字で呼ばれるの好きじゃないし、天樹っていうのもなんだかごつい感じだから、テンでいいわ、神無月君」
「じゃ、俺も凪で。よろしく、テン」
予想以上に仲良くなれそうな感じなのがかなり嬉しい。そう思ったからか、自然と差し出された手に自分の手を重ねて、握手に応じた。
ん……?ちょっと手の中に違和感を感じていると、テンは俺に軽く手を振って後ろの席につく。
夢じいちゃんはテンが席についたのを確認してから、連絡事項を述べて行く。が、俺は手に残された違和感が何なのか、そっちが気になって耳に入ってこない。
だから自然と手を開き、そこに残されたのが何なのかを見た。そこには、小さく折り畳まれた紙が残されていた。つまり、テンが残していったものである。
手紙だろうか?だとしたら、一体何を?間違いなく初対面だし、伝えるようなことはないと思うんだけど……
ゾクッ
手紙の存在を認識した瞬間、冷や汗をかきそうになるほどの寒気を背中に感じ、同時にズボンのポケットに入れているDフォンが、痛いくらいに熱を帯びる。
ついでそうになる声をどうにか抑えるが、しかし背後から感じる『何か』が恐ろしくてたまらない。Dフォンが萌えだしてしまいそうなほどに熱くなっているのが、まるで俺に危険を告げているかのようで、さらに怖くなる。
とにかく、このままでは火傷しかねない。そう思った俺は反対側のポケットから姉さんが毎日用意してくれているハンカチを取り出して逆側のポケットに入れようとするが、何故か渡された手紙に目が行ってしまう。それに意識がいって、どうしても行動が再開できない。
だから……なのだろう。一旦ハンカチを机に置いて、その手紙を手に取る。そしてそれを開くと、そこにはきれいな字で、こう記されていた。
『夢と違うことをするなよな』
たった一文にすぎないそれは、俺の心臓をわしづかみにした。そして同時に、命の危機を感じた。
◆2010‐05‐11T08:55:00 “Yatugiri High School 2-A Class”
朝のホームルームが終わって一限目までの十分程度の休み時間。次の授業が音楽であるために早めに転入性質問攻め大会は終わりをつげ、皆教室移動を始めた。そして、
「じゃ、凪君。案内をお願いしても?」
「ああ。それじゃ、行こうか」
俺は、さっき色々と聞かれたら答えると言ったこともあって、テンを音楽室へ案内するこ
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