少年は剣の世界で城を上るようです 第八層
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がモヤット――って待たんかいコラァ!!」
我慢し切れなくなったんだろうシュウマはキバオウの静止に一切止まらず、
会議室から出て行った。それで空気が弛緩し、次の瞬間、我先にと部屋を出て行く
全プレイヤーの頂点達。ゲームが始まって一年を過ぎようと、所詮はネトゲーマー。
長時間の拘束など最も嫌う連中なのだ。まぁ、俺もその例に漏れず。
「(はぁぁぁ〜〜〜・・・疲れた。まず、明日の為にポーション類買い漁るか。
結晶使えないしなぁ。)」
陰鬱な気分もやる事を決めてしまえば不思議と吹き飛び、俺は露店街へと
繰り出した。ここ49層"ミュージェン"は楽しげな音楽が溢れる街だが、路地裏は
全層一と言える程のカオスだ。露店もあるにはあるのだが、最前線の金を持った
プレイヤー狙いなのか、妙に強化値の高い装備が置いてあったり、逆に基本的な
ポーションは異常に安く異常な数置いてあったり。
それを探すのも楽しいのだが・・・目の前に揺れる真っ白な髪を見るに、迷う
必要は今日はなさそうだ。
「シュウマ。お前もポーション買いか?」
「んぁあ〜?あぁ、なんだキリトか……。」
「なんだとはご挨拶だな。そんなに飽きたのか?」
「ん〜〜……ちょっとなぁ。」
声をかけても、アリアちゃんばりの半目でぼへーっと答えるばかりのシュウマ。
疲れたとか嫌そうって言うよりは・・・変な勘だが。
「……なんか、心配事か?」
「あー……まぁそんなとこ。正直"軍"が何やらかすか分からんから、どーした
もんかなぁってな。アレ相手にしつつフォローなんて出来ないんだよ。」
ぐぬぬー!と頭を振り回しながら悩む姿を、俺は・・・意外だと思ってしまった。
傍目から見て仲が良いとはとても言えない軍連中(と言うかキバオウ)の心配を
態々するような奴ではないと思っていた。実際そうだった。
人助けなど、余程暇で見合う報酬を貰うか、可愛い女の子相手でなければしないを
モットーにし、実際にその通り行動しているような奴等が、だ。
「……お前、やっぱ優しいんだな。」
小声でと言ったつもりだったのだが、どうやら聞こえてしまった様で、ヘビメタか
歌舞伎のように振り回してた頭がピタリと止まった。そして――
「あ?」(グリンッ!
「っひょぉ!?」
シャフ度より更に鋭角に(寧ろ縦に180度)倒れ、上下逆さになったシュウマに
睨まれた。怖い怖い怖い!顔が整ってるから余計に怖い!
しかし直ぐに通常状態になって、痛くなったのか首を擦りながらこっちを怪訝そうに
睨んでくる。・・・な、なんか俺変な事言ったか?
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