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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第4章 “妹達”
八月一日・夜:『“ダァク・ブラザァフッヅ”』
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の『能力追跡(AIMストーカー)』が効かないのは不思議」


 そこに本人が居ると、知っていての評価か。だとすれば、真綿で首を絞めるような良い性格をしている事になる。
 そして矢張(やはり)、まだ一〜二週間の付き合いではこんなものだろうと。


「よね。『正体非在(ザーバウォッカ)』って結局、どんな能力な訳? 大能力者(Level4)の滝壺の『能力追跡(AIMストーカー)』が効かないなんて、超能力(Level5)?」
「顔が分かんないんだから分かる訳ないでしょうが……少なくとも、第二位(垣根帝督)ではないみたいだけど」
「じゃあ、第一位とか?」
「…………超笑えねェ冗談ですねェ、フレンダ」
「な、何でアンタがキレる訳よ、絹旗…………じゃあ、正体不明の第六位とか?」
「さぁ、どうだろうにゃ〜?」
「麦野が分からないなら私らにはもっと分からない訳よ……あ、良い事を思い付いたのよ」


 四人組は直ぐ側に本人が居ると知ってか知らずか、そんな話で盛り上がって。
 そうこうしている内に、幾つかの料理が出来上がっていた。片付けを終え、それを彼女らのテーブルに運ぶ。流石に纏めては無理なので、先ずは窓際の沈利と離后の分を。


「サーモンのムニエルと、カルボナーラでございます」
「へぇ、悪くない。悪くないわね」
「ありがとうございます、後の二皿も直ぐにお持ち致しま────」


 携帯を操作しているフレンダと、窓の向こうの夜の闇を眺めている最愛の前を越えて二皿を置き、一礼して踵を返す。


「等の本人を呼び出してみる訳よ、財布も兼ねてね」
「す、ね────!」


 正に、その刹那だった。フレンダが誰かに向けて通話を始めた数瞬の後に────嚆矢のポケットの中から、着信音が響いたのは。
 それに、四人の視線が一斉に此方に。沈利と離后は料理から、フレンダは彷徨わせていた虚空から、最愛は窓の向こうから此方に向いた。


「し、失礼致しました────」


 血の気が引く。有り得ない事だ、仕事用の携帯は常にマナーモードにしてあるはず。それが何故、と。


《…………あ、昨夜(ゆうべ)黙って触った時に間違えて解除してしもうた気が》
(…………お前が謀叛に遭って死んだ理由が、今ハッキリと分かった)


 背後の新物(あたらしもの)好きの魔王の、知識欲を甘く見ていた事に臍を噛む。無論、表情には出さずに。あくまで関係ない風を装って。その間も、着信音が鳴り響いている。
 そして、見える。フレンダが携帯の呼び出しを切ろうとしているのが。もし、あれを切られてそこで着信音が途切れれば……最早、詰みだ。疑いようもなく、絶対にバレる。


──考えろ、どう切り抜ける……この状況で、俺の
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