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Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第4章 “妹達”
八月一日・夜:『“ダァク・ブラザァフッヅ”』
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に、思わず聞き返してしまった。然もありなん、某グランプリに出てもおかしくないレベルのB級メニューだ。今までの三人とは全くもってベクトルが違う注文に、つい。
 そのせいで、最愛から見上げるように睨み付けられた。そもそも、この少女は目付きが悪いのだが。


「い、いえ……失礼致しました。お飲物は」
「コーラで」
「畏まりました、暫しお待ちを」


 注文を取り終え、厨房に引っ込む。其所では、師父が既に調理を始めている。この魔術師の店内(すみか)での話であれば、それがどんなに小さな言葉であれ彼の耳に入らない事はない。
 なので、注文表だけを置いてドリンクの方を持って行く事にして。


《どうじゃ、何か気付いたか?》
(まぁな……微かにだけど、魔力の残り香があった)
《つまり?》
(能力開発を受けてる人間は魔術は使えねェ……(いや)、使えるには使えるが、反動でどうなるか分かったもんじゃねェ。“魔導書(グリモワール)”を媒介にしたか、或いは他の魔術師からの干渉か……やっぱり、今一判断が出来ねェ)


 無論、例外はある。何しろ己自身がそうなのだから。能力者が魔術を行使した際の……正確には『生命力を魔力に精製した際の反動』は、規模で違いはあれども完全にランダム。故に、『最も軽い確率』を掴み取る事で。
 昔、蛙みたいな顔をした医者に『僕の研究成果でも使ってるのかな?』と聞かれたくらいに異常なレベルの、生来の『回復力』で騙し騙し使えている。最近はそれに“万能細胞(ショゴス)”も加わって、回復だけなら万全の体制だ。


《後者、であろう。“魔導書(ぐりもわーる)”のようなモノがあれば、(わらわ)が気付くからのう》
(…………)
《…………なんじゃ、その眼は? 胡散臭さの塊を見ておるようではないか》
(まぁ、兎に角気ィ抜くな。ショゴス、自律防御(オートディフェンス)は任せた。帰ったら煙草やるから)
『てけり・り。てけり・り』


 少なくとも背後に沸き立つ燃え盛る三つの瞳で嘲笑う(かげ)の魔王よりは付き合いが長い、足下に湧き立つ無数の血涙を流す瞳で見上げてくる(カゲ)の怪物の協力を取り付けて。


「お待たせ致しました」


 先にドリンクを並べて、帰り際に先の客が残していった下手物料理の数々を下げる。


「そう言えば、ジャーヴィスの奴。アンタらどう思う?」


 そこで、赤ワインを一口含んだ沈利がそんな事を口にした。思わずそれに、片付ける振りをしつつ耳を傾けて。


「どうって、結局どうもこうもない訳よ。素顔も見せないような奴、どう思えばいいのよ」
「超胡散臭いってところは、最初から変わりませんが。少なくとも戦力としては上々ですね」
「うん、でも……わたし
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