第一部 学園都市篇
第4章 “妹達”
八月一日・夜:『“ダァク・ブラザァフッヅ”』
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も、どんな意図があるのか知れたものではない。
《ふむ、何者かが手引きした、と。しかし、なんの為にじゃ?》
(そこだな、問題は……真意が掴めない。だから、尚の事厄介だ)
考えれば考える程、分からなくなる。だが、時間はそうはない。既に二分が過ぎた、早くお冷やとおしぼりを出して注文を取らねばなるまい。
そんな些細な事で沈利の逆鱗に触れては敵わない。覚悟を決めて、更に強く『話術』と『博奕』のルーンを励起して。
「お待たせ致しました、お水とお手拭き、メニューでございます」
テーブルに水とおしぼりを四つ、メニューを真ん中に。最初にメニューを取ったのは矢張頭目であり一番上座、左奥の窓際に座っている沈利。
「どうも。今日のお勧めとかあるかしら?」
「今晩は鮭の良いモノが入っておりますので、ムニエルがお勧めでございます。ソースはバジル、付け合わせにアスパラとパプリカとなっております」
「良いわね、それを頂こうかしら」
「畏まりました、合わせてワイン等は如何でしょうか」
「そうね、赤を」
「承りました」
慣れた様子でチップを渡してきた沈利は、メニューを隣のフレンダに渡す。どうやら、こういった経験は豊富なようだ。まぁ、超能力者で暗部所属など並大抵な財力ではないだろうし、不思議ではない。
因みに本来、純喫茶では酒は出さない。だがこの店は夜間のみ、酒類を提供している……らしい。客が入っているところなど見た事がないので、今一ピンと来ないが。
「え〜と……じゃあ麦野と同じもので」
「鮭でございますね。ですが、恐れ入りますが……ワインの方は、二十歳になってからでございます」
「ちょっ、子供扱いすんなってのよ!」
「未成年者にアルコールを出してしまっては、店長に叱られてしまいますので……」
「むむ……分かったわよ、コーヒーで。はぁ……結局アンタ、堅物な訳よ」
多少気分を害したらしく、膨れっ面になったがなんとか納得はしてくれたらしい。恨みがましい目で見られてしまうが。
メニューは、対偶の位置の離后に渡された。彼女はそれを受け取り、暫くペラペラと捲って。
「ん……じゃあ、カルボナーラ」
「承りました。お飲物は如何しましょう?」
「水でいい」
「承知致しました」
そして、必要最低限の会話で注文が終わる。メニューは最後の一人、右の通路側の最愛へ渡された。
一番小柄な彼女は、それを数度だけ捲って。
「じゃあ、この油焼きそばで。鰹節と青海苔は超多目でお願いします」
「承り……えっと、油焼きそばですか?」
「……何か、超文句でも?」
それ
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