暁 〜小説投稿サイト〜
Shangri-La...
第一部 学園都市篇
第4章 “妹達”
八月一日・夜:『“ダァク・ブラザァフッヅ”』
[2/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
も、どんな意図があるのか知れたものではない。


《ふむ、何者かが手引きした、と。しかし、なんの為にじゃ?》
(そこだな、問題は……真意が掴めない。だから、尚の事厄介だ)


 考えれば考える程、分からなくなる。だが、時間はそうはない。既に二分が過ぎた、早くお冷やとおしぼりを出して注文(オーダー)を取らねばなるまい。
 そんな些細な事で沈利の逆鱗に触れては敵わない。覚悟を決めて、更に強く『話術(アンサズ)』と『博奕(ペオース)』のルーンを励起して。


「お待たせ致しました、お水とお手拭き、メニューでございます」


 テーブルに水とおしぼりを四つ、メニューを真ん中に。最初にメニューを取ったのは矢張(やはり)頭目(かしら)であり一番上座、左奥の窓際に座っている沈利。


「どうも。今日のお勧めとかあるかしら?」
「今晩は(サーモン)の良いモノが入っておりますので、ムニエルがお勧めでございます。ソースはバジル、付け合わせにアスパラとパプリカとなっております」
「良いわね、それを頂こうかしら」
「畏まりました、合わせてワイン等は如何でしょうか」
「そうね、赤を」
「承りました」


 慣れた様子でチップを渡してきた沈利は、メニューを隣のフレンダに渡す。どうやら、こういった経験は豊富なようだ。まぁ、超能力者で暗部所属など並大抵な財力ではないだろうし、不思議ではない。
 因みに本来、純喫茶では酒は出さない。だがこの店は夜間のみ、酒類を提供している……らしい。客が入っているところなど見た事がないので、今一ピンと来ないが。


「え〜と……じゃあ麦野と同じもので」
(サーモン)でございますね。ですが、恐れ入りますが……ワインの方は、二十歳になってからでございます」
「ちょっ、子供扱いすんなってのよ!」
「未成年者にアルコールを出してしまっては、店長に叱られてしまいますので……」
「むむ……分かったわよ、コーヒーで。はぁ……結局アンタ、堅物な訳よ」


 多少気分を害したらしく、膨れっ面になったがなんとか納得はしてくれたらしい。恨みがましい目で見られてしまうが。
 メニューは、対偶の位置の離后に渡された。彼女はそれを受け取り、暫くペラペラと捲って。


「ん……じゃあ、カルボナーラ」
「承りました。お飲物は如何しましょう?」
「水でいい」
「承知致しました」


 そして、必要最低限の会話で注文が終わる。メニューは最後の一人、右の通路側の最愛へ渡された。
 一番小柄な彼女は、それを数度だけ捲って。


「じゃあ、この油焼きそばで。鰹節と青海苔は超多目でお願いします」
「承り……えっと、油焼きそばですか?」
「……何か、超文句でも?」


 それ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ