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駄目親父としっかり娘の珍道中
第72話 俺の戦い、私の戦い
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るのが感じられるのだ。まるで、桜月と戦う事こそが自分の宿命とでも言いたげにだ。

「だが銀時。あの紅桜相手に勝算はあるのか?」
「あぁ、そんなもんねぇよ。何時も通りに無計画で行くだけだ」
「って、そんなんで本当に大丈夫なのか?」
「っせぇなぁ、良いんだよ。俺ぁ何時だって無計画だからよぉ」
「心配になってきた」

 最初に会った時から薄々感じたのだが、この坂田銀時と言う男、想像以上にいい加減な性格をしている。それでも此処まで生きて来れたのは銀時の実力に所以するのだろう。
 だが、今回は相手が悪すぎる。何しろ人間を超越した化け物が相手なのだから。
 最強の刀を作ろうとして兄が手を伸ばした物。攘夷戦争時にて最強と謳われた剣豪、紅夜叉が用いていた桜月。
 ある人は桜月を常勝の刀と呼ぶだろう。だが、その本性は持ち主を殺人鬼に変えて無差別に人を殺しその血肉を貪る魔性の刀。
 その桜月を止められるのは、今銀時が持っている白夜しかない。
 白夜でしか、桜月を破壊する事は出来ないのだ。だが、仮にもし紅桜を破壊出来たとして、その後はどうする。
 狂気の道へと走ってしまった兄を止める事は出来るのか?
 刀を作る事だけに没頭し、遂には魔性の刀を作ってしまったあの兄を、止める事が出来るのか?
 鉄子の胸の内に徐々にドス黒い何かが大きくなっていくのを感じた。
 きっと、兄鉄矢もこんな感情を抱いていたのだろう。そう思えてきた。

「銀時……」
「何だよ?」
「兄者を……私は、兄者を止められるだろうか?」
「……知るかよ、そんな事」
「!!!」

 答えに迷走し、銀時に尋ねたが答えは予想外な物であった。

「馬鹿兄貴を止めんのはてめぇの仕事だろうが。うだうだ悩んでる暇があんなら馬鹿兄貴の横っ面でも殴っておけ。あの野郎にゃぶん殴られた借りがあるからな。てめぇがやらねぇんなら代わりに俺がぶん殴ってやるよ」
「嫌、その役目は私がやる。例え人の道を外したとしても、私にとってはたった一人の兄者なんだ。だから、私が兄者を止める」
「そうかい……ん?」

 ふと、銀時は何かを見つけた。海上を数隻の飛行船が飛行しているのを目撃したのだ。
 形から見て武装が施された船が四隻。
 それらが港に向かいゆっくりと高度を落としているのが見えた。

「ちっ! ヅラの奴、幾らなんでも派手にやり過ぎなんじゃねぇのか?」
「急ごう、もし兄者が飛行船に乗っているのだとしたらそれが飛び立つ前に取りつかないと―――」

 鉄子がアクセルを強く握り、スピードを上げた。上空を飛行している飛行船が攻撃してきたとして、仮にもし紅桜や村田鉄也が飛行船の中に居たとしたら、それらが飛び立つ前に取りつかなければ打つ手がなくなってしまう。
 それだけは絶対に避けねばなら
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