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駄目親父としっかり娘の珍道中
第72話 俺の戦い、私の戦い
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強と謳われた紅夜叉が用いていた二本の刀の内の一本【桜月】をベースにしただけの事ぁあるねぇ」
「ベースだ? お前、何か勘違いしてねぇか?」
「??? 違うってのかい?」
「紅桜に使われてるのは桜月の【欠片】だ。ベースになんざしたらてめぇ如き雑魚が使いこなせる筈がねぇだろうが。それとも何か? てめぇはあいつを超越したと誤解してんのか?」
「さぁねぇ、もうこの世に居ない奴とやり合えないってのは辛いねぇ。一度で良いから手合せしたかったよ。刀でもそうだが、こっちでも―――」

 言い終わる前に突如として岡田の手が勝手に紅桜の刀身を引き抜いた。
 頭上に刃を持ち上げると、それとほぼ同時に岡田目掛けて振り下ろされる刀身が其処にあった。
 それを振り下ろしていたのは他でもない、高杉自身であった。

「ほぉ、どうやら既に刀はてめぇを食い始めているみてぇだな。その様子じゃ苦しいのも無理ねぇか。ま、同情はしねぇ、てめぇで撒いた種だ。てめぇで処理しろ」

 岡田の腕に浸蝕している紅桜を見て、満足げに刀を鞘に納める高杉。だが、殺気が消えた訳ではない。彼からは未だに凄まじい程の殺気が放たれているのだ。

「それから、あいつとやり合いたかったらそいつを自在に操れるようになれ。でなけりゃあいつには勝てねぇぞ」
(こいつを自在に操るねぇ……やれやれ、こいつを使ってた紅夜叉ってのは、正しく鬼神だったのかねぇ?)

 自分の腕に浸蝕し、脈打つ紅桜の鼓動を感じつつ、岡田は旋律を覚えた。
 この化け物じみた性能を持っている紅桜ですら桜月の欠片を用いた程度でしかない。いわば、桜月のほんの一部でしかないのだ。
 その桜月のほんの一部に四苦八苦している自分の何と小さな事か。
 
「くくく……そうかい、所詮俺程度の人間じゃ逆立ちしたって紅夜叉には勝てないって事かい。嫌、もしかしたらこの世には紅夜叉に勝てる人間なんざいないのかもな。良いさ、だったら俺はこの欠片に食い殺されるその日までひたすらに人を斬り続けてやるよ。斬って斬って斬りまくって、何時の日か、俺自身が桜月になってやる!」




     ***




 港近辺では大勢の浪人達でごったがいの状態であった。あっちを見てもこっちを見ても人相の悪い浪人達がぞろぞろ居る。正に蟻の入る隙間すらなかった。しかも、どの浪人達もかなり殺気立っているのが見て取れる。
 そんな場所へ「こんにちわ、良いお天気ですねぇ」などと言いながら現れればそれこそ即座に斬り捨てられるのは目に見えている。
 果たしてどうした物か―――
 そんな恐ろしい光景を目の当たりにしながら新八は打開策はないか悩んでいた。
 負傷した銀時を抱えて万事屋に戻って来たのがつい半刻ほど前。神楽は相変わらず風邪の状態が酷い為戦力としては期
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