少年は加速するようです Round3
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を高く掲げていた。審判の「小手あり!」の判定と共に場内は騒然とし、
ハルユキ君は目を見開いて呆然としている。
それも仕方ない。今のは俺の目から見ても完璧な"中の先"だった。
まぁ・・・そんな事を出来るのは『未来予知』かS以上の『先見』持ちか、
でなければ俺達のような化け物か、或いは。
「二本目!」
次は対称的な勝負になった。タクム君は微動だにせず相手の出方を見ている。
対し能美は剣先を僅かに上下させ、緊張など微塵も感じさせない。
面に隠れてはいるが口元には薄く笑みさえ浮かべている。そのまま十秒、二十秒と
時間が過ぎ、審判の待てがかかる寸前。能美が速いとはいえない速度で竹刀を
振り上げた。そして、僅かに素早く口が動く。
「ドォオオオオオオ!!」
がら空きになった懐にタクム君が切りかかると同時、ハルユキ君が叫んだ。
「バースト・リンク!!」
合わせ、俺も思考を加速させる。千倍程に加速したがそれでもタクム君の竹刀は
じわりじわりと動いており、対し能美は竹刀を上段に構え、面を狙いに突撃
しているように見え、足も左のつま先しかついていない上動いていない。
数百分の一秒の差であろうとも、この速度差では幾ら攻撃を読んでいても反撃も
回避も出来ない筈だ。・・・あの若さでよくやる。
そして思考を通常に戻すと、タクム君の竹刀が速度を取り戻し、その速度に合わせ
能美の身体が回転しつつ横にずれる。流石に回避仕切れなかったものの、竹刀は
掠っただけ。直後能美の竹刀が伸び、タクム君の面を捉えた。
「ンメァァァアアア!!」
ズバァン!
「面あり!一本、勝負あり!!」
どさ、とハルユキの手から上履きを入れた袋が落ちた。
………
……
…
「って事があってねー。根性はさておき、中々面白い子だよ。」
「う〜ん、私は嫌いな展開ねぇ。そういう…意地汚い?タイプの敵って嫌いなのよ。
ぶっちゃけ踏み潰して擂り潰して焼き尽してそのままポイしたいくらい。」
「重々承知してますよ〜、っと。ずぞぞぞばー。」
夜七時。ハルユキ君達と別れ、麻帆良の方の家に帰って来ていた。
向こうも能美・・・ぶっちゃけ改め"ダスク・テイカー"の話をしているんだろうなと
切り出したら、ノワールは不機嫌になってしまった。
ウチの女王様はホントに嫌いだねぇ、ああ言うただ汚い小悪党。
「てかこっちは問題ないか?」
「・・・ある。パパと、ママが、いない・・・。」
「あぁぁんアリアっ!!私も寂しいわぁぁぁぁぁぁああ!!」
「ごめんよアリアぁ!今すぐあのガキ殺してくるからねぇ!!」
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