少年は加速するようです Round3
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小柄な二人が盛んに竹刀を打ち合っている。甲高い奇声・・・もとい気勢と緑の
たれ紐を見るに、両方一年だろう。今日はレギュラー決めのトーナメント戦で、
タクの初めての正式な試合なのだ。罪滅ぼしの為か、転校して来てからの時間を
僕らのギルド、ネガ・ネビュラスの為に捧げようとしたがマスターに戒められ、
こうして入部したのだ。僕らを呼んだのは、たとえ負けても二度と剣道に『加速』を
使わないと言う意思表示なのだろうと思った。だから、こうして気後れしつつも
運動部の支配地域に足を運んだのだった。
「ドウあり!勝負あり!」
そこで勝負が決まり、若干体格の良い負けた方の一年は足音荒く列に戻り、
一方、勝った方の一年はひときわ小柄な体をふわりと翻し無音で戻った。
「二回戦第一試合!赤、高木。白、黛!」
そして、タクともう一人が立ち上がった。
どこか緊張しているようにも見える。まだ、タクの中で許せていない事があるのかも
知れない。でもこうして道場に戻って来た事で、新しく一歩を踏み出したんだろう。
「タッくーーん!ぶっとばせーーーーー!!」
「タッく〜ん、ふぁーーいとぉ〜〜!」
「ぶっ!」
・・・ちょっとセンチな考えも、隣の二人の無遠慮な声援にかき消され、
首を竦めながらも精一杯の声をだした。
「が、頑張れタク!」
聞こえたのかは知らないけど、タクが小さく頷いた気がした。
Side out
Side 愁磨
「決勝戦!赤、能美!白、黛!」
ワーーーー!! ヒューヒュ−−!
彼是30分、遂に決勝戦が始まる。
対戦はハルユキ君の幼なじみであるタクム君と、天才剣士と進行形で騒がれている
能美。身長は良いところ155cm、身体も細く、武士のようなタクム君と並ぶと
大人と子供だ。しかしそれよりも大きな上級生と戦い、勝って来た。
当たらないのだ、攻撃が。ただの人間では躱せない場面も幾つかあったにも関わらず
それを避け、所では出がかりに技を合わせもして見せた。
誰かがローカルネットで騒いだのか、いつの間にか広いとはいえない道場は
観客で埋まっていた。
「始め!」
「メェェェェェェエン!!」
開始と同時、タクム君が仕掛ける。能美よりもリーチで勝る事を利用した一撃。
普通に見たら一切の反撃を許さないそれを――
「テェェェッ!!」
パァン!
「……っ!?」
躱すでも防ぐでもなく、またしても技の出始めに合わせ、見事な小手を決めた。
タクム君は鍔迫り合いに持ち込もうとしたが、能美は既に十分な間合いを取り、
竹刀
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