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FAIRY TAIL ―Memory Jewel―
第1章 薔薇の女帝編
Story8 妖精の背徳
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て、この水晶を取れば・・・」

そう言いながらコテツは左手で水晶を掴み取った。
受け皿の水晶が無くなった天秤座(ライブラ)の天秤は不思議な事に止まる事無く上下に揺れ続けているが、チェルシーとグラミーの身体は一定の高さで宙に浮いたままだ。

「何も・・起こらないけど・・・?」
「なーんだーっ、これじゃーっ、さっきとーっ、変わらないーっ。つまんないーっ。」

首を捻るルーシィと不服そうに唇を尖らせるグラミー。コテツは妖しく微笑んだまま口を開いた。

「今、君達の周りは()()()なんだ。だから身体は宙に浮いたままなのさ。」
「無重力ゥ!?」
「無重力ーっ!ふわふわーっ!楽しーっ!」

コテツの言葉にルーシィは再び驚嘆の声を上げグラミーは空中で平泳ぎの真似をした。

「あ、言い忘れてたけど、あまり喋らない方が身の為だよ。」
「えーっ?何でーっ?」

コテツの言葉にグラミーは首を傾げた。その隣で呆れた様子で額に手を当てたチェルシーが簡潔且つ的確にコテツの言葉に一手間付け足した。

「あまり喋らせないで欲しいわね。私達の周りだけ、無重力なのよ?」
「知ってるよーッ。それがーっ、どうかしたーっ?」
「・・・アンタって、ホントに大バカ野朗ね・・・・」

ため息と共に呟いたチェルシーは観念したように、大バカ野朗のグラミーでも分かるように説明した。

「無重力は慣性力が重力と釣り合っている事を言うの。これは主に宇宙で起きる現象なのよ。そして、宇宙は気圧がすごく低くて空気が無いの。」
「それでーっ?」
「・・・空気が無いって事は、息が出来ないって事なのよォ!」
「なるほどーっ。そっかーっ・・・ってえええぇぇーーーっ!?」
「遅すぎるわーっ!」

グラミーの理解能力の無さにルーシィはツッコミを入れた。

「ちょっとコテツ、ホントにあの2人の周りだけ空気が無いの?」
「え、今更何言ってるの?無重力なんだから当たり前じゃん。後1分もすれば呼吸も出来なくなると思うよ。」
「!」
「そ、そんな・・・!」
「私とーっ、チェルシーっ、絶対ーっ!絶命ーっ!」

平然と答えるコテツの言葉にルーシィは悲鳴のような声を上げ、チェルシーは言葉を失い、グラミーは無重力状態で手足をバタバタさせる(語尾を延ばす特徴的な口調のせいで慌ててるようには一切見えない)。

「大丈夫。僕は人を殺したりするほど残忍な男じゃないよ。」

そう言うとコテツは青と紫の水晶を受け皿に戻した。そのまま天秤座(ライブラ)の天秤は左に傾き、

「うわっ!」
「おーっ、もーっ、いーっ!」

チェルシーとグラミーの身体は地面が沈まない程度で重くなる。

「ルーシィ、今だよっ!」
「あ、うん!キャンサー、お願い!
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