四十話:ぶつかり合う想い
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らな!」
「俺は何が何でも黒歌を、お前達を守る。例え、お前達を傷つけることになってもな!」
その言葉を皮切りに再びぶつかり合う両者、ルドガーの槍がイッセーの鎧を砕き、イッセーの拳がルドガーに突き刺さる。そんなぶつかり合いが何度となく繰り返される激しい押収が続く。
本来であればルドガーは先ほどのようにつかず離れずの状態で自分の間合いを崩さずに戦っていれば簡単にイッセーには勝てる。しかし、あえてそれをしない。何故か? それは、イッセーは何度倒しても向かって来ると確信しているからである。
不屈の意志を、意地を持って戦っている男を倒すには意地の張り合いで負かす以外方法がないのだ。それを知っているルドガーは敢えて自分にとって不利な状況に飛び込み真正面からぶつかっているのである。イッセーの戦闘技術はまだプロのそれとは比べ物にならない程荒いがその力は骸殻状態のルドガーであっても十分にダメージを与えるものだ。
それでもなお引かないのはルドガーにもまた意地があるからである。そうこの戦いはまさに意地と意地のぶつかり合いなのだ。見ている者達もそれが分かっているので手出しはせずに二人の戦いを見守っている。
「守りたいんなら、傍で守ってみせろよ!
あの人はお前が消えてずっと泣いていたんだぞ!」
「黙れ! そうだとしても……これが一番確実な方法なんだ!」
「確実とか不確実じゃなくてお前も俺達も幸せになれる方法を選べよ!
お前を失って得た幸せなんて俺達はちっとも嬉しくねえんだよ!」
「お前に…何が分かる!? お前は世界の残酷さも、過酷さも知らない!
何かを守る為には必ず何かを犠牲にしなければならないのが世界だ!」
拳と槍のぶつかり合いは激しさをますます増していく。そして二人の心のぶつかり合いもまた激しくなっていく。お互いが一歩たりとも譲らない。どちらも譲れないものを持っている故に起きたぶつかり合いにはどちらが正しいともどちらが間違いという事は無い。
お互いの覚悟と信念、それがより強い者が己の意志を押し通すことが出来るのだ。その身に赤き龍を宿す青年とその身に一族の業を背負った青年。どちらの想いが勝るかはまだ誰にも分からない。
「いい加減に分かれよ! この分からずやがあああっ!」
「分からずやはてめえの方だろうが! ルドガァァァッ!」
ルドガーの槍とイッセーの左の拳がお互いの想いを最大限に込めてぶつかり合う。
「「おおおおおっっ!!」」
雄叫びと共にぶつかった槍と拳。そこから凄まじい衝撃波が放たれ辺りの地面を抉っていき、空の雲をも吹き飛ばしてしまう。そこまでの威力が生まれてもどちらも一歩も下がらずにさらに押し合う。
そして二人の想いが何かに達し
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