車椅子の少女
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から出てきた。だが、はやてから借りた寝間着に身を包んだフェイトはなぜか自分の胸を押さえて赤らんだ顔ではやてを睨み、はやては俗に言う賢者モードの雰囲気をホクホク顔で漂わせていた。
「……あえて何も訊かない事にするぞ」
「……………ありがとう」
「フェイトちゃんの胸は期待いっぱい、夢いっぱいやったなぁ〜♪」
はやての台詞が答えをそのまま示しているのだが、おれとアルフは聞かなかった事にし、フェイトもまた被害を喰らいたくない以上わざわざ蒸し返そうとはしなかった。
「これから一緒に住むんやから皆はもう家族やね! サバタ兄ちゃん、アルフさん、フェイトちゃん!」
「…………フッ」
「家族かぁ……まあ良いんじゃない?」
「……うん。(でも……ジュエルシードを全部集めて母さんを昔のような優しい母さんに戻したら、私とアルフはこの家から出なきゃいけない。出来ればここは壊したくないのに……どうしよう……)」
「…………」
一瞬、何らかの事情によって沈痛な表情で俯いたフェイトの様子に、少し気が吸い寄せられた。人の家庭にそこまで深入りするつもりは無いが、深刻そうなら力を貸す事もやぶさかではない。彼女の事情に関して今は静かに経過を把握するのに専念しよう。
その後、おれは1階の空き部屋、フェイトとアルフは2階の部屋を貸してもらい、夜を明かした。倉庫街で目覚めてから半日もしていないが、思い返せば激動の時間だった。だが何より俺がこうして今、人間として生きていることに複雑な思いを抱いている。
俺と分離したヴァナルガンドが世界に影響を与えていないか、ジャンゴやサン・ミゲルの連中がどうしてるか、そしてカーミラがどうなっているかが常に頭の中に置かれている。いつか世紀末世界に帰る必要があるかもしれんし、その方法も探しておくべきだろう。
しかし今はヴァンパイアの件を優先しよう。本当なら俺の柄ではないが、かと言って無視するのも虫の居所が悪い。もしこの世界に吸血変異が起こされるような事があれば、フェイトやはやてが無事でいられる保証もない。未来がある彼女達を守れるなら、俺一人の命ぐらい安いものだ。
っと、そういえばこの世界でも暗黒カードは使えるのだろうか? 借りる必要はないが、利用できるかどうかだけ確かめておこう。
暗黒カードに搭載されているスイッチを押すと、空中に液晶画面が投影される。いつもならここに受付嬢が現れて金利の話ができるようになる。さて……どうなる?
『いらっしゃいませ! 出張版太陽バンクをご利用頂き、誠にありがとうございま〜す!』
おかしい……なぜ陽子が出て来る? 本来なら暗黒ローンに繋がるはずだが、どうして太陽バンクの受付嬢が? またジャンゴが借金し過ぎておしおきを嫌がった暗黒ローンの受付嬢が拗
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