暗黒の戦士
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たヴァンパイアは少なくないダメージを受け、元々先程の攻撃でかなり弱体化している事もあり、たたらを踏んで後ろに下がった。
「ッ……俺は……一体何を……!! う……うぁあああああああ!!」
「……?」
頭を押さえて悲鳴に近い雄叫びを上げたヴァンパイアはコウモリに分裂してどこかに飛び去って行った。分裂されると追いかけるのにも手間がかかる。更に俺はこの街に土地勘が無い以上、ヤツがどこに隠れたのか見当が付かない。それに今から追いかけようにもエナジーの残量が心もとない、などと考えていると先程吸血されかけた少女がひどく動揺した様子でおれの左肩から流れる血を見ていた。
「あ……! ああ……!!」
「……おれが言うのも何だが、おまえ大丈夫か?」
「私のせいで……! ご、ごめんなさい!!」
涙混じりに謝られたが、「おれが勝手にしただけだ」とだけ返した。しかしこの短時間に年端もいかない女子3人が誘拐されたり襲われそうになるとは……この街は呪われているのか?
「さっきから人ん家の前でえらい騒いどるようやけど、いったいどうしたんや?」
また一人増えた……。
声のした方を見ると、すぐ近くにあった家から車イスに座った小柄な少女が現れた。彼女は左肩からどくどくと血が流れている俺とそれを見て酷く狼狽している金髪の少女を交互に見ると、慌ててこちらに近寄ってきた。
「うわっ、そっちの兄ちゃん酷い怪我しとるやないか! こっちで治療したるから家に上がって!」
「お、おい……」
「わ、私は……」
「いいからさっさと来るッ!!」
『わ、わかった……!』
ここにもいた強引な少女によって、有無を言わさずにおれと金髪の少女は車イスの少女の家に連れ込まれるのだった。いつの間にやら退路を徐々に失っているような……気のせいか?
なお同時刻、とある場所では。
「我使命を受けし者なり、契約の下、その力を解き放て。風は空に、星は天に、不屈の心はこの胸に。レイジングハート、セーットアーップ!!」
この世界代表の新たな魔法少女が目覚めていた。
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