暗黒の戦士
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ギが掛かっていない扉をわずかに開け、倉庫の中を調べる。中は無地の鉄板張りの床にスミスの孫娘と同じくらいの金髪の少女と紫の髪の少女が縛られ、正面にあまり体格に恵まれていないリーダーらしき男と、その周りに無骨な銃を持つ男が数人控えていた。ここまで近づいてわかったが、あの薄い闇の気配は実際にはおれと似た紫の髪色の少女から発せられていた。感覚だけで見るなら彼女はヴァンパイアという事になるが、それならばなぜ捕まっている?
なにやら話し声が聞こえる……。
「あ、あんた達、私達をさらってどうしようってのよ!!」
この言語は日本語か? 俺も普段は英語を使っているが、ある程度他の言語も出来る。文化圏が違うなら今の内に言語修正しておこう。
「言わなくてもとっくに想像はついているだろう? 人質として高額な身代金をせしめるためさ。おまえ達の家は相当高い家柄だからな」
「やっぱそういう系だったか……」
「わ……私はどうなってもいいですから、アリサちゃんは解放して下さい!!」
「ダメよすずか! 私は大丈夫だからコイツの言いなりになんかならなくていいのよ! あんた、助けが来たら後で覚えておきなさい!」
「助けが来たら、か。クックックック……!」
「何がそんなにおかしいのよ!」
「友達のくせに知らないのか? 俺達は依頼人から聞いたが、果たしてそいつの正体を知った人間が助けに来ると思うか?」
「は? どういうことよ?」
「そ、それは……! お、お願いですから言わないでください!」
あの紫の髪をしたすずかという名前らしい女の顔が蒼白になり、彼女の友人らしい金髪のアリサという女が訝しげな顔をする。ただの秘密にしては過剰反応のように見えるから、恐らくかなり内密にされているものだろう。聞き逃さないように集中力を増やしておく。
「わからないなら教えてやろう。そこにいる月村すずかは人間じゃない。人の血をすすって生きる、吸血鬼というバケモノなんだよ!」
「いやぁあああああ!!!」
証言が出た、やはりヴァンパイアだったか。しかし会話の内容とあの状態から、すずかという女は自分が吸血鬼である事にコンプレックスを抱いているようだ。一応理解出来なくもないが。ただ、吸血変異を起こしたら基本的に大抵の人間はアンデッド化し、記憶や人格を失って生者を求めて徘徊するはずだが、なぜか彼女はアンデッドではない吸血鬼となっている。おれの知るヴァンパイアと何か違う事に違和感を抱いていると、アリサという女がいきなり啖呵を切った。
「はっ、だからどうしたってのよ! 吸血鬼とか、そんなの関係ない! 吸血鬼だと知った今でも、すずかは私の大切な友達よ! そんな事で切れる程、私たちの仲はヤワじゃないわ!!」
「アリサちゃん……! ありが……
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