2ndA‘s編
第十五話〜最後の攻防〜
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ることができたのは、自分の目的に対するゴールが見えたためだろうか、と思う。
(限定接続)
高速的な機動を続ける中、ライは思考操作で自分にとっての特別な札を切る。
大分消費された自己の魔力が急速に膨れる感覚で満たされる。それはこもる様な痛みをもたらすが、目的のための代償と割り切る。
「コンプレッション」
ヴァリスに装填された残り五発のカートリッジをロードする。圧縮された魔力はいつもの弾丸ではなく、砲身を纏うようにしてある形に結い上げられる。
それはヴァリスを一回り大きく、そしてシャープにしたようなライフル。それはかつてゆりかごに置いて壁抜きを行った時の魔力の砲身と同じ原理で編み上げられたものだ。しかし、あの時とは明らかに違う。それは無骨さがなくなり、どこか工芸品や美術品を思わせる流線型となっている部分だ。
魔力により、外側を一新されたヴァリスを構えることなく、ライは静かにその砲身にCの世界からの魔力を込めていく。
「バレット生成、シェイプオブ“ランス”」
込められた魔力が一定量を超えると同時に、砲身が上下に分かれる。そしてその間に挟まるようにして一本の槍が生まれた。
それはゆりかごの中でライが使用した魔力の槍に酷似していたが、あれよりも一回り太く力強い印象を見るものに与えた。
「最後だ、飛び込むよ」
「「イエス マイ ロード」」
唱和の声とライが姿勢制御を行ったのはほぼ同時であった。
動かない的に向け照準を合わせるのに早々時間はかからない。ヴァリスに装填された槍の切っ先が人型に向いた瞬間、躊躇いなくライはその引き金を引いた。
「っ!」
打ち出された瞬間、ヴァリスの機構でも抑えきれない反動の為、構えていた両腕が跳ね上がり、ヴァリスの砲身の役割を担っていた魔力も粉々に吹き飛ぶ。その魔力の、光を放ちながら粒子のように辺りを舞う姿はどこか幻想的な美しさを演出するが、それに浸るような暇はない。
放たれた槍は直進する。
人型から放たれる収束砲や魔力弾を引き裂きながら、目標に到達するまでの障害のことごとくを跳ね除けながら。減速もせず進み続ける。
そして最後の障害となる魔力障壁に到達した槍は、やっとその進行を遅らせた。
障壁はその槍に内包された魔力を霧散させようと、そして槍はその障壁を食い破ろうとして拮抗する。槍はその大きさを徐々に萎ませていくが、それと引き換えに障壁の方には亀裂が入り始める。
そしてとうとう障壁の許容量を超えたのか、槍は障壁を突き破りその切っ先が人型を捉えた。
衝突までのコンマ数秒という距離。障壁によってその大きさを半分以下となってしまったが、それでも十分な量の魔力を内包した槍は、そのまま直進し――――
『ロック』
人型が展開
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