2ndA‘s編
第十五話〜最後の攻防〜
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先程から続けられる砲撃の衝撃により、人型の直下にある折れた岩から小石や土煙が舞い上がっているのだが、それらが人型を避けるようにしているのである。
そのことから魔力的な障壁だけでなく、物理的な障壁も展開されていると見て取れてしまい、ライにとっては攻め手に欠く状態なのだ。
彼の表情に苦いものが混じり始めた時、その声は頭に響いてきた。
『外にいる方!聞こえますか!』
ライがよく聞く日本語とは、少し違うイントネーション。そして幼く女性と言うよりは少女といった声。彼にとって聞き覚えがあり、初めて聞くその声にライは同じく念話での返答を行った。
『聞こえる。君は誰?』
我ながら白々しいと思いながらも誰何の言葉を送る。幸いにも苦笑しそうになるライの表情は念話の相手に見られる事はなかった。
『あ、通じた!えっと、今そこに夜天の、あ、茶色い本を持った娘がおると思うんやけど』
『夜天の書で通じる。あと、今丁度その本を持っている人型と交戦中だ』
『こうせ……あ、ああ戦っとるんやね』
語彙が未だ乏しいのか、ライの言葉を理解するのに少しだけ時間を要した返答が返ってくる。それを聞いて、ライは自分の言葉を選ぶよう注意するために、少し気を引き締めた。
『私は夜天の書の主の八神はやていいます』
『僕の名前はライだ。君は何を伝えたい?』
もう数えるのも馬鹿らしくなる程の砲撃を回避し続けながら、催促の言葉を送る。そこに少量の苛立ちの感情が紛れなかった事に内心でライは安堵した。
『えっとその娘を今、本来の娘やのうて違う娘なんです』
事情を理解していない人間が聞けば理解できない言葉ではあるが、理解しているライにとってはある意味で解りやすい言葉であった。
『今から私が何とかしますんで、その娘をどうにかしてください』
エナジーウイングから得ている推進力が弱まり始めたため、残りの魔力を一気に離脱の為に使う。そして夜天の書の索敵圏外に出ると同時に、地面を横滑りしながらもライは海鳴の地に着地した。
『僕と戦っている娘を倒せばいいわけだ。なるほど、伝えたいことは理解した。……そこに管制人格である彼女はいる?』
『え、あ、はい』
ライが彼女の存在を知っていることにはやては驚きの動揺を漏らすが、なんとか返事を返した。
『彼女に伝えて欲しい。これから起きるのは主である君や、まして僕が起こした奇跡じゃない。管制人格である彼女が望み、そして手を差し伸べて欲しいと願った当たり前の希望の結果だということを。どんな過去でも、どれだけみっともなくても、それでもこれは自分が成した事だと胸を張れ』
言いたいことを言い終えると、ライは確認をし始める。先の攻防でボロボロになった両腕を見下ろ
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