2ndA‘s編
第十五話〜最後の攻防〜
[4/8]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
攻撃が生み出した煙から逃げるように離脱したライ。その姿は、至近距離の爆発ということもありボロボロという言葉が適したものとなっていた。
「ハァ……ハァ……」
たった数秒の攻防で息は上がりきっていた。極限に近い集中はそれだけライの精神的な疲労を大きなものにしているのだ。
必死に息を整える中、背中で二発の撃発の音が鼓膜を揺さぶる。その音を聞くことで思い出したように、ライは六発打ち切ったパラディンのマガジンを新しいものと交換する。
(残りのマガジンは手付かずが二つ、今パラディンに装填したマガジンが一つ、エナジーウイングに装填したマガジンが四発ずつ使って残り二発ずつ)
脳内で残弾確認をしながらも、ライの視線は目前の煙から離れることはなかった。
初見でしか通用しない戦術であるとはいえ、できる限りの火力を叩き込んだ先の攻撃。全てを消し飛ばすことは無理でも、無傷ではないと思っているライの思考は決して叶わない願望の類ではない。
しかし、人型が現れる前に煙から出てきたのは、砲撃魔法による弾幕であった。
「!」
煌びやかにも見える光の奔流に対し、ライはほぼ反射的に回避行動を取っていた。
その光が立て続けに放たれることで漂っていた煙はほとんど吹き飛ばされ、砲台となっている人型が現状を見せる。
「――――今一歩」
上や下という概念が希薄な飛び方で、回避行動を続けるライはチラリと見えた人型の姿を確認し、そう呟く。一瞬ではあるが、胸のすぐ下のあたりから身体の殆どが脱落していた人型の姿をライは確かに確認したのだ。それは先の腕を切り飛ばした切断面と比べると、綺麗な平面ではなく、例えるのなら風化した粘土のように歪に拉げグズグズであった。
「だけど――――」
少なくないダメージを与えられた事に内心で安堵しながらも、ライは呟く。そして、それに合わせるようにライは回避行動に合わせて、持っているヴァリスを人型に照準、発砲した。
「ッ!」
一発のカートリッジの空薬莢と共に吐き出された魔力弾が、吸い込まれるように人型に向かう。直撃コースに乗っているその魔力弾はしかし、人型に当たる数メートル手前でその内包した魔力を霧散させた。
着弾の光景の代わりに見えたのは、人型を覆うように展開された障壁。しかもカートリッジを使用した圧縮型の魔力弾が直撃したにも関わらず、小揺るぎもしなかったのだ。リミッターが付いていたとは言え、未来のエースオブエースの収束砲さえ引き裂いたその弾丸でそれなのだから、その障壁の強度は推して知るべしだ。
「……どうすべきか」
魔力弾が弾かれたのではなく霧散したことから、その障壁が魔力的な防御に特化していると推測して物理的な攻撃なら通用する、と一瞬考えるがその考えは即在に否定された
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ