暁 〜小説投稿サイト〜
リリカルなのは〜優しき狂王〜
2ndA‘s編
第十五話〜最後の攻防〜
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う錯覚してしまうのだ。本来であれば逐一状況を報告すべきオペレーター達や指示を出す艦長も、今はそのスクリーンに映る戦闘に引き込まれている。
 それほどまでに今のライの戦い方は既存の魔導師としてのスタイルからは逸脱している。
 純正ミッドチルダ式の遠距離での打ち合いではなく、ミッドチルダ式とベルカ式の混合術式。それに伴う近接空戦スタイル。
 今現在において、最新技術でありほとんど出回っていないはずのACSを“応用”したエナジーウイング。
 そして二機のデバイスを同時運用しそれを使いこなす本人の技量。
 今分かっているだけでもこれだけの突出した能力を見せつけるライ・ランペルージとは何者なのか?とアースラ内で、映像を見ていた全ての人間が思っていた。
 もっともミッドチルダ式とベルカ式のハイブリットやデバイス二機のシステム間の連携など、この時代においては未だ確立されていないモノについて、彼らは把握しきれていなかったが。

「艦長あのライって人は一体…………」

 恐る恐ると言った風にオペレーターの一人が訪ねてくる。もっとも言われた当人はそんなことはこっちが聞きたいと言う表情しかできない。

(どういうこと?あそこまで有能な魔導師ならば無名であることがありえない)

 リンディの一番の疑問はそこであった。本人の容姿もそうであるが、魔導師としてのあり方がとても目立つ彼の話は愚か、噂さえ聞いたことが無いことに違和感を覚えたのだ。
 管理局の人手不足は今に始まったことではないが、そのために人材収集をより多く行う為の広告塔にできそうな局員は率先してアイドルに近い扱いをしている。余談ではあるが、彼女の息子であるクロノもそれに近い扱いを受けており、最近では嘱託魔導師となれば高町なのはもそれに利用するという話もあるほどだ。
 話を戻すと戦闘はもちろん、交渉事などにおける強かさも持ちえる彼はそれこそ格好の素材と言える。それにも関わらず、本人曰く『後ろ暗い事情を処理するため表に出るわけにはいかない』と、公言こそしていないがそれに近い内容を遠まわしにではあるが言っており、ある意味で納得はできる理由ではあるのだが腑に落ちない点はいくつも存在しているのだ。
 泥沼になりそうな思考を中断することはせずに、リンディは一旦それを頭の片隅に追いやった。

「今は彼の事は二の次よ」

 『自分も気になっているのに何を偉そうに』と内心で思いながらも、彼女はオペレーター達に声をかける。
 それを皮切りに先程までスクリーンの映像に釘付けになっていた一同はハッとして、先程まで呆然としていた自身を恥じた。
 そして件のスクリーンには魔力弾の爆発による煙と崩壊した岩の剣による土煙から飛び出てくるライの姿が映し出されていた。



海鳴市・海上


 自身の
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